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第3章 3
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例えそれが、単なる偶然だったとしても、ただのハプニングだったとしても、
抱かれた熱は嘘では無かった。
僕は、あの時。
初めてこの目に大河を映したその瞬間に、
ーあの美しい男に魅入られてしまったのだ。
愛してしまったのだ…
それが、単にオメガの本能に踊らされているだけだとしても、この気持ちは嘘では無い。
ーー僕は大河を愛してしまった…。そして、この子もーーーー。
もう二度と元には戻れない。
そう…ーーー、決めたのだ。
「僕…ーーー、この子を産むよ。」
それは、この子が僕の最初で最後の子供だからでは無い。
あの時、あの時間。
僕が愛した男の、あの夢のように熱く。
愛し、愛された時間に、
神が僕に授けてくれた、僕だけの大切な宝物。
この子は、大河が僕を愛してくれた証。
ーー…いや、そんなものではない。
ただ、ーーこの子が愛おしい…。
聖母のように微笑み、優しくそっと、自らの腹を撫でる綾人を見ながら、
猛もそっと、決意を固めるのであったーーー。
「ーーーなら、逃げようか…綾人。桜庭家に、絶対に見つからない様に…ーーーーー。」
ーーバレてはならない。絶対に…。
僕を、見つけないで…ーーーーー。
ーーーーーー
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