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第3章 10
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◇
ーーそんな訳で、
宣言通り、ほんとうに実家と縁を切ってしまった大河は、勤めていた桜庭家の中核会社の社長を即刻辞めた後、なんと大病院の医師になってしまった。
もともと医師免許は大学に行く片手間で取得していたらしく、現在は自分で作った病院をあっという間に大きくしてしまったのだ。
ーー何というか、ほんと規格外だなぁ
でも、それくらい、優秀なアルファである大河には簡単な事なのだろう。
なぜ、
再就職を医師にしたのか聞いた時、僕の出産の準備を大河自身でしたかったからだと、知った時は少し呆れもしたが、
なんだかんだ言いつつ、凄く大切にしてくれる大河と一緒になれて、僕はとても幸せなのだ。
ーーーそして、
大河の実家の人達は、僕が長男である李土を産んでからというもの、その子が大河並みの優秀なアルファである事が分かるや否や、手のひらを返したように
今度は、しつこく復縁を迫ってきたりした。
もちろん、その都度、大河にキッパリお断りされているのだが。
しかし、
それも僕が、暗黙の了解でほぼ不可能と思われている【第二子】を産んだ事により、
目の色を変えて、今までとは比べ物になら無いくらいに、うるさく連絡を寄越して来るようになり。最近では、
いっそ、金魚のフンの如く大河につきまとって来るらしく。
とうとう、ひと月前には、
直接家の電話にかけて来る。
という暴挙に出た事により、ついに大河がキレて、接近禁止命令まで本家の人達に出した。
それでも、安心出来無いのか、今は、絶賛警戒体制中。と言ったところだろうか…
現在、何かと僕達家族に接触を図ろうとしてくる本家や分家の人達を警戒して、
今まで、大学では李土や信之と、登校時間などもずらしていたのだが、
どうやら僕たちの通う『聖サンダルフォン大学』に、桜庭の分家の長男が通っている事がつい最近判明して、
今のところ僕たちに接触して来たりというアクションは起こされていないが、警戒するに越したことはないと、通学やお昼なども李土と取っている。というのが現状だ。
ーーと、ここまで考えている間にも、みんな朝食を食べ終わり、そろそろ家を出る時間も迫って来ていた。
ちょうどいいタイミングで、専属の運転手も呼びに来たので、みんなで揃って家を出る。
「気をつけてね。いってらっしゃい。」
綾人は、登校と出勤の為に用意された、それぞれの車へと乗り込む前に、
いつも通り大河と抱擁を交わし、軽く口付けを送る。
それに大河は嬉しそうに微笑み返し、綾人がしたものより少し濃厚な口付けを返して来てから
「行ってきます。綾人も気をつけるんだぞ。何かあったら直ぐ、連絡してくれ。」
と言い、綾人の頭を優しくクシャ、クシャと大きな手で撫でてから、自分の車へと乗り込んで行くのを見送った後、
綾人も既に李土達が乗り込んでいるもう一台の車へと脚を向けたーーーーー。
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