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第3章 11
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聖サンダルフォン大学へは、車で15分くらいの道のりでつく。
聖サンダルフォン大学は、今年で創立158年くらいの由緒正しい大学だ。
上流階級の子息や子女なども数多く通っており、倍率は毎年200倍以上を誇る「超難関大学」として世間でもかなり有名だ。
所属学生の数も多く、学部もさまざまな学部の学生が所属している。
当年は李土や信之が通っていた高校からの受験者の数が例年よりも多く、歴代の中でも1番、受験生の数が多かったらしい。
その中で、綾人が受かったのは本当に幸運だったと思う。
綾人が専攻している音楽学部は、聖サンダルフォン大学でもまだ優しい方なのだ。
因みに、李土は医学部でまだ学生の身でありながら、研修医として父である大河の病院にも呼ばれるほどの凄腕だ。
そして、信之は看護科に所属しており、将来は李土の助けになれるように大学での勉強を日々頑張っている。
ーー大学に近づいて来ると、専属の運転手である巽さんが車をゆっくりと止める。
綾人達の乗る車が姿をあらわすと、周りにいた聖サンダルフォン大学の学生達の目がこちらの車内に集中しているのが分かる。
周りにいるのはどれも似たような高級車ばかりなのに、学生達の視線が集まる原因は、この車に桜庭李土という学園の王子様が乗っているからに他ならないだろう。
この大学でも圧倒的人気をほこる王子様が乗り付ける車は、こうして注目を集めるのが当たり前過ぎて、今更、驚きもしないが。
うー…、毎度の事だけど、心臓に悪いなぁー…。
綾人が見られている訳ではないのは分かっているが、色々な含みのある目線を向けられるのはどうにも慣れる物でもないと知った。
「さぁ、行こうか。母さん。」
「母さんじゃないよ。大学では『綾人』でしょ?」
李土は今日も完璧な美貌で綾人に微笑みかけてくる。
「そうだった。ーーそれじゃあ行こうか?綾人。」
大学では、李土とは従兄弟同士という事になっているので、自然と李土も信之も綾人の事を名前で呼ぶようにしている。
こうして超絶美形ボイスで名前を呼ばれると、流石に親子と言うべきか、声の質が大河にそっくりだ。
巽さんがドアを開けてくれたので、李土に続いて綾人も車から降りると、車はそのまま大学専用の駐車場へと向かって行った。
信之は、正門につく少し前の所でいつも降りるので、周りの学生には綾人と李土が毎朝なかよく二人で登校して来ているように見えるのだろう。
ーー羨望
ーー嫉妬
ーーやっかみの視線がこちらに集中砲火する。
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