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第2章 12
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と、綾人がそんな事を考えている間にも、
信之は何とか大河の意見が変わらないか、あれこれと言い募って懇願する言葉を紡いでいたのだが、
生憎、そのどれも大河の意思を覆すほどのものでは無かったらしく、
今度は直接、綾人へと矛先を向けてきた___。
「お母さんからも何とか言ってよっ!、僕、スッゴク、凄っく兄さんと回るの楽しみにしてたんだからっ!!」
信之の中では兄である李土との『文化祭巡り』という一大イベントはどうやら決定事項だったらしく、
今にも泣き出しそうな顔をして、綾人へとその激情を向けてくる。
流石に、ここまで必死な信之の姿を見せられては、可愛い我が子だ。
頼み事を聞いてあげたくなって、
「ねぇ、大河。信之もここまで言ってるからさ、一緒に回っても良いんじゃないかな…?なんと言っても初めての文化祭だし」
綾人は、隣に座る夫の顔を仰ぎ見て、
反応をまっていると、
「そうだよっ!それに僕達といてお母さんが目立っちゃうって言うなら、そんなの今更だしっ、本家の人達だって、もうそこま…「信之っ!」っ、」
びりッーーっ!
いきなり、もの凄い威圧感をその声音に滲ませた大河が、それまで流暢に言葉を紡いでいた信之を一瞬にして黙らせたーー。
そして、恐ろしい程までのオーラをその身に纏い、言葉もなく唖然と大河を仰ぎ見る信之に、一段と低い重低音で、戒める。
「ーー本家の話しはするなと言っただろ。」
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