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第3章 1
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桜庭家の豪邸から逃げ出して来た綾人だったが、
そろそろ自宅が見えてくる。という所で、家の前を忙しなく彷徨く人影が遠目に見える。
ーー父さん…。
どうやら一晩帰らない息子を心配した父が、いつからそこに居たのだろうか。近づいてくるタクシーに乗った綾人と目が合うやいなや、慌ててこちらへと駆け寄ってきた。
「綾人っ…っ、心配したんだそっ、」
まだ緩く動いているタクシーの扉を自らの手で開け放つと、
中で力なく座席に体を預けた息子を抱きしめたーーーー。
「ーーただいま…。父さん…、」
ーー綾人を一目見た瞬間と、その声の声音で何かあったのだろうと。父には察しが付いただろう。
しかし、
今にも泣き出しそうな顔をした綾人の頭に手を乗せながら、何があったのかと。問い詰める事なく。
優しく父は、その頭をそっと撫でてくれた。
「お帰り…。おかえり綾人。」
ーーーーーー
◇
いつも寛げる空間である筈のリビングは、今は電気を点けている筈なのに、どこかどんよりと暗く感じる。
「ーーそんな…、、事が…、」
綾人が今まで何処で、何をしていたのか。
ポツリ、ポツリ、と話し出すと、唖然とただ聞いていた父は、何と言っていいのか、
言葉も見つからないみたいだった。
それは、そうだろう。
まるで予測不可能ーーー。ありえない状況だ。
しかし、そんな現実は直視できない…
だから、限りなく低い可能性に縋りたくなる
「で、でもっ、…相手は本当にアルファだったのか…?もしかしたら、ベータだったかもっ…!綾人の勘違いってことは…っ、、」
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