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ある日の夕方──。
ソウゲツは民家の屋根に腰を下ろし、沈む夕日を背にして乱れた呼吸を整えていた。
どうも最近、長時間空を飛ぶことが、だんだん苦しくなってきたのだ。
時折襲われる咳も、あれから一向に治まらない。薄々気付いてはいたが、やはり肺をやられているのだろう。
「おや? あれは……」
すると、以前王子様がルビーを与えた劇作家の青年が街の劇場から出てくるのが偶然目に入った。
懐かしく思って見ていると、青年は後から続いて出てきたオーナーらしき初老の男性と両手で握手を交わし始めた。
「今日は来てくれてありがとう。いやあ、君の新作は実に素晴らしい! これでもかとストーリーが練られた傑作中の傑作だ。これは満員御礼間違いなしですよ!」
そう言われた青年は、上気した顔に満面の笑みを浮かべて称賛の声に応えていた。
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