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「ねえ、ソウゲツ。さっき空を飛ぶ練習をしてたら、南の方に綺麗なエメラルドグリーンの湖を見つけたんだ。ほとりには果物の木があって、いい匂いのお花がたくさん咲いてるよ。僕たち、巣を作るなら絶対あそこがいいと思うの。今からそこに行ってみない?」
「巣!?」
やれやれ......この子は分かっているのだろうか? 2羽のツバメが共に巣作りするという意味を……!
「可愛い王子様……それはひょっとしてプロポーズですか?」
先手を打たれたソウゲツがニヤリと意地悪そうな笑みを浮かべると、少年はプクッと赤い頬を膨らませてそっぽを向いた。
「今さらなんだい。言ったでしょ? 僕、あなたのことをずっとずっと待ってるって」
ソウゲツは笑ってしまった。
どうも今後はこの王子様の尻に敷かれる気がしてならない。
「ああ、そうだった」
「早く来ないと置いてっちゃうから」
王子様はそう言って小さな翼を広げると「えいっ」と弾みをつけて空中に飛び上がった。
そのままパタパタと湖の方を目指して飛んで行ったが、まだまだ慣れない飛行はおぼつかず、威勢のよい言葉の割りには速度も遅かった。
ソウゲツはその後ろを飛びながら、懸命に羽ばたく王子様の姿を幸せそうに見守っていたが、やがて目的地が近づくと軽やかに少年との距離を詰めていった。
そして。
「愛しているよ」
そのまま優しく背中に覆いかぶさったのだった──。
・・・・・
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