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プロローグ
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それは中学二年生の時の話である。
榛名千優(はるなちひろ)は人生で初めて告白をされた。
当時彼は、自分でもつまらないと思う夏休みを過ごしていた。
高校はエスカレーターで一年後憂う受験勉強もない、部活もやっていない、もちろん友達もいないし、何の予定もない。
とにかく家ではなく、どこか涼しいところに行きたくて、ショッピングモールを目指していた時の事。
目の前からもの凄く可愛い女の子が歩いてきた。
年下に見えたその子は、高学年の小学生か中学一年生か。とにかく同い年ではないと見た目で判断した。
夏らしい麦わら帽子には側面に大きいリボンが付いており、白いワンピースは幼さが残る。そのワンピースに合ったサンダルは可愛らしい足を包んでいる。
もし千優が成人していたなら、犯罪者にでもなってしまいそうな危うさだ。
そう見える程、千優にはその女の子が魅力的だった。
そんな可愛い女の子が目の前で立ち止まり、声を掛けてきた。
「あの……」
千優が思ったよりは低い声だった。
顔を見ると、可愛い顔を歪ませ、今にも泣きそうな表情をしている。
ここで泣かれたら自分が捕まってしまうのではないか、と事を考えながらその少女を見つめた。
「どうしたの?」
迷子かと思ったのだが、
「……あの、あなたが好き……です」
少女は顔いっぱい真っ赤にそめて、千優に告白をした。
人生初だった。初めて女の子に告白された。
「ごめん。俺、好きな人いるから」
その時、不謹慎な話だが「可愛い女の子に告られたのに、あっさり振る俺カッコイイ」と千優は思っていた。
だが実際に好きな人はいる。どうしても断る以外の選択肢はなかった。
少女は泣きそうな顔で大股で走っていった。
清楚な女の子らしからぬ粗野な走り方に千優は少し唖然としていた。
もしかしたら、普段は女の子らしくないのかもしれない。
もしかしたら、精一杯お洒落をしてきてくれたのかもしれない。
小さな女の子だ、年上の男の人に興味を持ってもおかしくない、きっも何かの勘違いだろう……と。
千優はその出来事を人生初の告白された体験と胸の内に閉まった。
せめて家まで送れば良かった、告白を真摯に受け止めた上できちんと返事をすれば良かった……そんな後悔をする事になるとは、この時千優は知る由もなかったのである。
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