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十一話 ナオの話
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「ひゃっ……」
驚きのあまり声が出てしまった。触られた部分からじんわりと性感を煽られ、すぐに下半身が反応する。
男の手は太腿を優しく前後に撫でてくる。
痴漢をされているというのに、この身体は気持ち良さを感じると同時に辛くなった。
「あれユイ君、今日ちょっと感じやすすぎない?」
普通に話し掛けられた。知り合いか? 千優が顔を上げると、男と目が合った。
「今……禁欲中……」
「なのにここにいたの? もしかして助けて欲しい?」
男が千優の股間を触ろうとしたちょうどその時、電車が次の駅に着いてドアが開いた。
千優は急いで立ち上がると、転がるように外へ逃げた。
車内を見ると、男性が心配そうな目で見ていた。
「ふっっざけなよっ!!」
駅のホームだろうが、人がいようが構わず電話口に向かって怒鳴った。
電話の相手は由那だ。
「あははははっ! 十六時四十七分発の二両目乗ったろ? 平日その時間とその車両に乗ると痴漢友達が遊んでくれるんだよ」
「早く言えよな!」
「まさか、ドンピシャでその時間のその車両乗るとか思わないし。お互い気が乗らない時はその車両に乗らない。別の車両で会っても痴漢プレイはしない決まりになってる」
運が悪かったという事だ。
毎日楽しそうな由那を恨めしく思う。
「犯罪じゃねえかあのサラリーマン」
「坂本さんを悪く言わないでくれる? あの人は元々俺から誘ったから」
「それでも犯罪だろ。何やってんだよ、ったく……他にこういう事ってある?」
「ナイ!」
由那はキッパリそう言った。入れ替わってから大変な思いばかりだ。
今も電話が耳に当たって感じてしまっているし、由那が喋ると振動が耳の奥に響いて耳の奥を犯されているように感じてしまう程だ。
「もう切る」
「ちょっと待って、まだ言うことが……」
「なんだよ!?」
早くしてくれと急かす。
帰ったらオナニーがしたいという欲求で頭がいっぱいだ。射精したくてたまらない。
「明日、身の回りに注意して」
「え?」
「今日ヒイロと二人きりになったろ。エロい顔しながら」
「はあっ!? あんなの不可抗力だろ!?」
「相手は知っててもそう思わないから」
「なぁ犯人って誰なんだ?」
「今は言えない。ごめんな……囮にしてるって分かってるんだけど、協力して欲しい」
「今更だろ。来須だって俺を助けてくれたし、俺達友達だろ? 気にすんな」
「……ん、ありがとう。今度穴埋めするから。じゃあまた後で連絡するね」
電話を切り、不満を抱えながらスマホを鞄にしまうと、ポンと肩を叩かれた。
ビクッと驚いて振り向くと、そこにはナオが優しい笑顔をしたまま立っていた。
「ユイ、どうしたの? ここユイの降りる駅じゃないでしょ?」
「えっナオこそ……」
「俺はここが最寄りだもん。電車降りたらユイがいるからビックリしたよ」
由那の家は降りる駅がまだ先だ。ここにいては不信がられるだろうと、千優は身構えた。
なんでここにいるのか? という質問が来ると分かっているのに、言い訳が思いつかない。
「え、えっと、あの、知り合いの人に痴漢されてて、あっ、あっと、俺から誘ったんだ。
あー……ごめん、今の聞かなかった事にして」
焦りから冷や汗が流れる。もしかしたら由那は親衛隊達に痴漢プレイをしてもらっていると言ってないかもしれないのに、言ってしまい動揺は抑えられない。
「痴漢? ユイはそういうの好きだよね」
「なんとも思ってない?」
「もしかして、そんな事で俺が嫌うと思ってる? 大丈夫だよ、そんなユイも好きだよ」
「……それは、告白……?」
それは由那でなければ聞いてはいけない事だ。
勝手に聞いてしまうわけにはいかないのに、流れでナオに告白させてしまったら申し訳がない。
千優の頭の中は、どうすればいいのか分からなくなって逆に思考停止している。
「え……と? 何言ってんの?」
ナオは反応に困ったように首を傾げ、困った顔をしている。だが、すぐにぱあっと明るい顔になった。
「ああ、ごめん。いつもの冗談だよね? 真面目な顔して言うから真面目に返しちゃったじゃん」
「ああ、うん! 冗談冗談!」
由那を意識してカラカラを笑ってみる。上手く出来ているかどうかは保証出来ない。
ここでの返しは、えへっとかぶりっ子をすべきなんじゃないかとも思ったが、由那のナオに対する態度など千優が知る由もない。
「ユイは、片想いしている人の事そろそろ吹っ切れた?」
まるで由那に好きな人でもいるかのような口ぶりに千優は困惑した。
由那の事など殆ど知らない。好きな人がいる事など……。
「どうだろうね」
結局誤魔化す事しか出来なかった。
ナオに怪しまれながら、次に来た電車に乗って部屋まで帰った。
ハード過ぎる一日に体より心が疲弊している。
それなのに、自身のペニスは固くなり、ズボンを押し上げている。
体の奥底から熱くなって、感じ過ぎてしまっている。
外気に触れている事がもう性感を刺激していると言ってもいいだろう。
よくここまで我慢したと自分を褒めてやりたい。
部屋に上がり、まず寝室を開けた。
開けた瞬間漂ってくるザーメン臭に少し気持ち悪くなるが、そんなのはもうどうでも良かった。
昨夜既に尻に異物を挿入してしまったからか、抵抗感が薄まっている。
千優は服も下着も脱ぎ捨てると四つん這いになり、床に転がっているディルドを掴んで、後孔に突っ込もうとした……が、入らない。
「入らないっ……入らない。どうして!?」
グイグイ入れようとしたところで、濡れていないと入らない事を思い出した。
ローションを右手の指に垂らし、穴に突っ込んだ。急に突っ込んだからか痛みに悲鳴を上げる。
「いっ……つぅ……」
その痛みにも感じて腰を振ってしまう。傍から見たらどれだけ間抜けな姿だろう、そう思いながらも指を無理矢理押し込む。
「……はっ……はあっ、あっ……んんッ」
四つん這いのまま、棚の一番下を開けると、玩具の山の中からオナホを見付けた。
尻穴から指を引き抜き、ローションを左手に垂らすと、左手で陰茎を濡らしグチュグチュと卑猥な音を立てて上下させる。
肩で自分の体を支えて右手で尻にディルドを突っ込み、左手でペニスをオナホで扱くと、あまりの快感に口が開いたまま閉じる事が出来ない。
「あぁ……、きもひぃ」
だらしなく力の抜けた声を上げ、涎まで垂れてきた。そちらには意識をやれずに下半身に全集中させてしまう。
そうでないと、少しの刺激ではこの体は満足してくれない。後孔も、本当はディルドでは足りないのだ。
足りない、足りない、足りない。
欲しいものは分かっている。だが、それは千優の心が拒んでいる。
「足りないよぉっ……ぐすっ……」
泣きながら何度も吐精しているのにもっと射精を望んでしまう。どうしても満足出来ない。
クスクスと笑い声が聞こえる。
幻聴か。そこまで頭がおかしくなってしまったのだろうか不安になる。
この部屋には千優一人しかいない筈だ。人の気配がするのだ。
だが、理性の飛んだ頭は侵入者より快楽を優先させてしまっている。
タガが外れたように腰を振り、左手に掴んでいるオナホを乱暴に動かす。今は射精する事しか考えられない。
「あーあ。そこまでいやらしくなっちゃって、可哀想だね」
その声に千優は手を止めて顔を上げると、すぐ側に由那がいた。
「手伝ってやるよ」
由那が千優の陰茎をオナホごと強引に掴み、強く握った。そしてグチュグチュといやらしく音を響かせながら上下させる。
後孔に挟まったままのディルドも掴んでピストンさせると、あまりの気持ち良さに淫らに喘ぎながら身を捩らせる。心を許して身体を委ねた。
「ああああぁっ!!」
由那からすれば自分の身体だ。良いところが分かるのだろう、千優はすぐに射精してしまった。
何の安堵だろうか、千優はそのまま目を閉じて眠りについたのだった。
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