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二十四話 由那の過去④
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その後、由那を苦しめていたのは薬物依存だった。軽度のものだったので、伯父の隆が心理療法をして、少しずつ元に戻していった。
親には言わないでくれと、頑なに隆に念を押していた。
その頃には由那のファンは百人を越す程になっていた。初期からいるファンは事情を知っているが、新規のファンは何も知らない。
ウタとナオとヒイロが、少しでも由那の味方を増やそうと頑張った結果でもある。知らないから純粋に好きでいられるというのもあったんだろう。
トラウマから、学校から家に帰れなくなる時はウタかナオかヒイロの誰かがいれば帰れるようになった。
学校から最寄り駅までは出来るだけ複数人で帰ることになった。
薬が抜けてから、次に由那を襲ったのはセックス依存症だった。
自慰をする事すら吐き気がするのに、尻の奥が男を求めていた。けれど、絶対に誰ともしたくなかった。
我慢に我慢を重ねた結果、放課後の誰もいない時間由那は身悶えて、廊下に倒れ込んでしまった。
この日一緒に帰る筈のヒイロは、教室で待っていたのだ。
そこに現れたのが木元だった。
由那は抱き起こされると、すぐに木元を襲った。
近くの空き教室に連れ込んで、木元のズボンを下ろすとすぐにフェラを始めたのだ。
「く、来須君!?」
「はぁ……チンコ、チンコ美味しいよぅ」
周りも見えずに一心不乱に男性器をしゃぶった。あんなにも忌避していた行為だったのに、いつの間にか身体はその行為を好きになっていたようだ。
由那の目には木元が映っているのに、男性器にしか興味がなくなったらしい。
木元の性器を勃たせると、腰の上に跨って後孔に挿し込んだ。そして激しく腰を振る。
木元はすぐに果ててしまったが、柔らかくなるとまたフェラをして、また自分の穴に入れた。
それを木元の性が尽きるまで繰り返したのだ。
その後、必死に由那を探していたヒイロに現場を見られる事になったが、由那はヒイロの姿を見ると気絶してしまった。
この事を由那は覚えてはいるが、相手が木元だという事をまだ知らない。
その事件があってから、由那はファンとセックスをするようになった。
最初は何度しても満足出来ず、毎日人を替えてセックスをした。それは中学卒業まで続いた。
だが、高校に入り、
「外部生も増えるし、もっとエッチ出来るね」
と言い出した由那にナオがストップをかける。
「いつまで続けるつもり? ユイのアナルがおかしくなっちゃうよ」
「もうおかしくなってるだろ」
「そうかもだけど! でも、治す努力は必要じゃないの? 少しずつエッチの回数減らさない?」
由那は将来を考えた。高校卒業して、ファンクラブから解放されたら、誰が毎日セックスしてくれるのかと。
高校を出たら、それぞれの道を進むだろう。その先で、由那は一人でセックスの相手を大勢作るのは無理だろうと、すぐに想像がついた。
それからだ。死のうと考えたのは。
由那の為を思って言ってくれた言葉に対して反論できる由那ではなかった。
出来るだけ周りの言う事を聞いて、高校を出たら死のうと思い立ったのだ。
最初は苦しかった。一日に三人を相手にしていたのを二人、一人と減らされた。
由那は夜、大人相手にセックスをねだるようになった。
それでも子供相手にする大人は少なく、結局セックスの回数は減っていった。
慣れてくると、次は日数を減らされた。
あまりにも辛かったので、玩具を買って自慰をする事が増えた。
自慰なら許されたので、毎日するようになった。だが、人と道具では大きな差があり、道具ではなかなか快楽を得られない。
指を噛んで耐え、泣く日が続いた。
この頃、由那は教頭先生にサービスをしており、スグファンだが千優だけは由那と同じクラスにしてもらっていた。
毎日千優を見る時間だけが由那の心を癒していた。
だが、千優が由那の苦しみを知らない事が段々許せなくなってくる。
由那は、卒業したら千優を殺して自殺しようと計画をしていた。
その考えが変わったのは、図書館で魔術書を見つけてからだった。
ウタの図書委員の仕事が終わったら一緒に帰ろうと、様々な本を出して遊んでいた時、一冊気になって仕方がない本があった。
そこには、人の呪い方や、悪魔の召喚法など、細かく書かれていた。
由那はそれを借りずに盗んだ。そんなものを借りたとウタに知られたくなかった。
また心配をかけたくなかったのである。用が済んだら返す手筈だ。
「悪魔の召喚……。叶えてくれるのは三つの願いか〜。一つで良いんだけど、まぁいっか」
書いてある内容は普通であれば用意出来るものではなかった。だが、由那は全てを用意し、魔法陣を書いて召喚に成功させた。
そして千優と入れ替わる準備が出来たのだ。
※
夢で見た由那の過去は、千優が思っていたものより壮絶だった。
涙が流れて、それを袖で無造作に拭く。
由那の人となりを知れば知る程、彼の自己中心的な面が嫌いにはなれなかった。
由那は寂しかったのだ。父親が再婚をしてから、誰が近くにいてもずっと寂しかったに違いない。
千優はすぐに由那に会いに行こうと、立ち上がった。制服を着て、部屋を開けると母親が「おはよう」と声を掛けてきた。
入れ替わる前であれば、お互い挨拶もせず無言のままだった。だが、由那が変えたのだ。
「おはよっ」
少し照れながらだが、挨拶が出来た。これからこの家を変えるのは千優自身の役目だ。
「ちーちゃん、おはよー」
姉とも何年も会話らしい会話をしていなかった。
「ねぇちゃん、おはよ」
「あれぇ泣いたの? 目赤いよ」
「うっ。夢見たんだよ、泣けるやつ」
「へぇ〜夢見て泣くなんてまだガキだね」
馬鹿にしたような言い方をする姉。だが、気軽にそんな事を言える関係に戻れた事が喜ばしい。
「ガキで悪かったな〜」
「いいよ、ガキのままで。面白いから」
そんなやり取りをしてから、朝食を食べてすぐに家を出た。父親は先に家を出たようで顔は見れなかった。
歩いてすぐ学校に着いた。いつもの時間だから由那を待つファン達はまだいない。千優は駅に向かって走っていった。
時刻は八時。由那が駅に着く時間だ。
けれど、ウタはいないとして、ナオとヒイロもいなかった。十分待っても来ない。
千優自体、遅刻しそうになって慌てて教室へと走るが、教室には空席が二つ。それは由那とウタの席だった。
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