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神様が、ピンと来ないなら、
そうだな…………
じゃあ、
俺の為に生きて。俺の為に働いてよ。
未来を────未来を、守ろう。
幼い頃は、ただ奪われる世界を見ているだけだった。
俺が出来たのは、選ぶことだけ。
今も、なにがどこまで、どう変わってしまうのか、わからないけれど──
ふふふふ。タダじゃないよ。
借りの方が大きいかもね。
だから、なにも、心配要らない。
代償は、少なからず、払ったけれど。
そのぶん、お前に返して貰うことにする。
ん? いや、そんな大袈裟なことじゃないって。普段通りにしてくれれば良い。
ち、違う。プロポーズじゃ無いってば。
どういう思考回路してるんだよ。
はぁ…………、あ、電話…………
もしもし。リュージさん、なんか俺、奥さんになるから。……はい、わかりました、またいつもの書類ですね。
え? 報告しなくて良かったのか。
「はぅあっ、受信したああああああああああああああああああああ!
予言よ!あなたたちは、いつか地獄に落ちる! これは予言んん!!」
ホールから聞こえてくる断末魔を無視して外に出る。
とりあえず菊さんと合流しよう。
「御幸ヶ原って、予言も出来るんだな」
界瀬が冷静に冗談だか本気だかわからないことを言う。
「それは予言じゃないって。だれが地獄界まで通じてるんだよ」
「へぇー-。あのおばさん、サイボーグなのね。知らなかった」
珍しく橋引がボケた。
『あの人』から、早く遠ざからなくては、と俺は道を急ぐ。
界瀬が探した通りに、菊さんはホールのある部屋……の裏にある、放送の為の部屋に居た。
こんなところもあるのか。本来はステージでの舞台演出なども行うらしい。
「さっきはありがとうございました」
部屋に入りながら、俺たちは挨拶する。
「ちょうど時間があるって言ったから、さっき花ちゃんに来てもらったんだけど……あ、今、別の部屋に居るんだが」
何をそんなに駆け回ったのかやけに額に汗をかきながら、菊さんはパイプ椅子から手を振ってくれた。
他の部署は知らないが、此処では人を呼ぶとか専門を呼ぶというのが多い。花子さんを呼ぶのも想定内だ。
はー、はー、と荒い息を繰り返してから、彼は改めて話した。
「此処に、死んだやつが居るなら、花子ならある程度は話が出来る、だろ?」
そう、花子さんは、そうらしい。俺も聞いては居たけれど、あまり関りがないので、よくわかっていない。
「えと、つまり、菊さんは、此処に亡くなられた人が居るというのを探したんですか」
「そうそう、あの山、やっぱり、なんか、最近のものも感じるし、古いのもあるしな。
――此処のステージで、昔、ある少女が亡くなっていたんだ。
コンテスト中に急に舞台から消えてて、神隠しとか、いろいろ言われたけれど、誰にも見つけられなかった。
花子が言うには、どうも、殺したのは同じ会場に居た母親のママ友っていうか……その一家の辺らしい。 それって今も何事も無いように付き合いを続け、捜索を手伝ってるかもしれないってことだろ? 怖いなぁ」
こわいなぁ、を彼のゆっくりした特有の口調で言うせいで、あまり怖くないのだが、確かに怖い。女性は嫌いではないが、今日は、御幸ヶ原さんのヒステリーとかを見過ぎたせいでやけに頭が痛かった。
「えーっと、それで……どうしたんですか」
「一応伝えてはみたが、時効かもしれないし、俺らにはどうにも。だから、俺らだけの秘密だ」
何時も無駄に元気な菊さんが、この時はやけに寂しそうに言っていた。
「もう一つの方は、恐らく」
界瀬がやけに静かに呟いた。
「主催者だ」
2021年12月15日20552 ー021年12月20日16時32分
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