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忘れられない、
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「 ……ただいま 」
「 あら、良介。生徒会の集まりがあるんじゃなかったの? 」
そう言って、キッチンから顔を覗かせたのは俺の母さん。
「 あーええと…明日に延びたらしいんだよね。…それよりちょっとお腹空いたかもしんねぇ 」
「 あぁ今つくるわね、部屋で待ってて良介 」
佐々木 良介。それが俺の名前だ。
「 うん…父さんと姉さんは? 」
「 まだよ。先に2人で食べちゃいましょう 」
そう言って昔から変わらない笑顔を見せる母さんは__男とキスをしたなんて知ったら、なにを言うのかな。
そんなもやもやを抱えながら、二階にある自室へ歩を向かわせた。
ーー
「 はー… 」
制服のまま、ベッドへ倒れ込む。
7月の終わり、俺が住む場所は暑さがマックスの時期だ。
「 …暑い 」
暑い。熱い。アツい。
ふと股間に目をやれば、もうすっかり立派に勃っていた。
「 は…?なんで、だよ…… 」
夕飯前に一発、抜いとくか。
ベルトを外し、パンツをずらす。
まだ、脳内が清川で支配されていた。
ソレに手をかけた時____
ヴー、ヴー、とスクールバッグの中の携帯が振動する。
バッグから携帯を取りだし、耳に当てがうが、着信元不明という文字に一瞬警戒する。
「 …もしもし 」
『 あ!番号合ってましたか!清川でs 』
通話終了の赤いボタンを押す。
なんで。
直後。また、ヴー、ヴー、と携帯が震える。
『 なんで切るんですか! 』
「 …清川だからだ 」
『 えぇー?俺のこと考えてたくせに 』
その言葉に、心臓が跳ねた。
「 …っ!!なんで、知って、 」
『 あれ、当たりでした?適当こいてたんですけど 』
なんて言って、鼻で笑う清川。
勘が良すぎる。
「 …電話切るぞ 」
『 怒らないでくださいよ先輩。ね、先輩今から俺の家来ませんか 』
「 は…? 」
部屋の時計が指していた時間は、19時10分。
『 まぁもう19時過ぎですけど 』
「 …分かってんなら答えも分かってるだろ、行かない。俺はお前と違って真面目なんでな。
要件はそれだけか?切んぞ 」
『 待ってくださいよ、先輩。俺今家に1人なんすよ… 』
だからなんだ、と返す。
『 ……言わせますかフツー。…寂しいんですよ 』
「 …………っ…はぁ…子犬かお前は………… 」
『 道端に捨てられてる可哀想な子犬なんで俺の家来てください。待ってますから 』
そう言って、通話を向こうが切った。
一階のキッチンからは、揚げ物の音が聞こえる。
「 …母さん……ごめん 」
せめて声をかけてから行こう。
私服に着替えて、母さんに話しかける。
「 …えっと、ちょっと、あの、今から……出かけたくて__ 」
すると、母さんはひとつため息をついて。
「 普段真面目な良介が、こんな時間に出掛けたいなんてよっぽどの用事なのよね?
…いいわ、行ってきなさい。あなたももう高校3年生だもの__。
23時までには帰ってくるのよ 」
「 …!ありがとう!あ、夕飯俺の分考えなくて大丈夫 」
ありがとう普段の俺。ありがとう母さん。
それだけ声をかけて、俺は玄関を飛び出した。
携帯と財布だけ持って。
「会いたい」だなんて感情、あいつが知ったら笑うだろうか。
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