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文化祭のコト。
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「 …よし!最後の一冊終わりー!ヒラ、終わったぞ 」
「 こっちも終わりましたー 」
「 俺も終わりました 」
「 俺もこれでおしまい 」
フジ、清川くん、香坂くん、良介が終わったと俺に合図をしてくれる。
「 みんなお疲れさま~。授業つぶしてもらってまでやってくれてありがとね。みんなのお陰で予定よりずっと早く終わりました。
それじゃ、フジ以外はもう帰って大丈夫だよ 」
ふわついた雰囲気のまま、皆に伝える。
「 え?ヒラ、俺は帰れないの? 」
「 言ったでしょ?続きするって 」
「 家でやれ家で 」
良介から冷静なツッコミが飛んでくる。
「 ふふ、じょーだん。いつもと一緒だよ、フジ。図書貸し出し手伝ってほしいんだ 」
そう。
みんな図書委員の地味な仕事なんて、やりたがらない。
だから体調をよく崩す俺の傍には、いつもフシが手伝いという名目と、面倒を見るという名目がある。
まぁ。それ以前に彼に以前「 ヒラとは一緒にいたいから居る、恋人だから一緒にいたい 」
と言われたことがあるのだが。
「 そういうことね。わかった。でもまだ6時限目終わんなそうじゃない?時間的に 」
優しい木製の図書室の壁掛時計を見てフジが言う。
「 あー、そうだね。じゃあ…休憩ということで。それぞれ好きなことしてていいよ、図書室で。今更クラス戻っても授業終わりかけだし 」
「 そうだな、帰りの会頃に戻るわ 」
俺はふと、以前から気になっていることを聞いてみる。
「 ね、良介と清川くんって付き合ってるの?ネックレスかわいいねー 」
すると、良介らがなんとも言えない表情を浮かべる。
「 あー…別に付き合ってるとかじゃ…ねぇ…よな、清川 」
「 そうですね…明確にどっちかから付き合ってとかって言ったことはないです、自然にというか 」
「 へー、そうなんだぁ。ねぇフジ、僕らはどうだったっけ? 」
フジに、あの日のことを言わせようとしてみる。
「 っ…ヒラから言って 」
「 もう、しょうがないなぁ。
…えっと、始まりは__あの文化祭の日だったよね。
フジが軽音部として出し物をしていた時。
その演奏が、俺のいた保健室まで聞こえて来たんだ。
そしたら、フジが出し物を披露するステージからテンション上がって足コードにひっかけて転倒しちゃってさ。
そして保健室にフジが来たわけなんだけど。
あの時、フジ俺になんて言ったか覚えてる? 」
「 なんでそこヒラが言わないんだよ 」
「 いいから、早く 」
「 ……すきだ、って、言った。ベッドに横たわっていて、綺麗で透明感のある雰囲気に…惹かれたんだ 」
そう。
去年の文化祭の日、今フジが言った通りのことがあった。
「 ふふ、正解。で、フジからキスをくれたんだよねー。嬉しかったなあ 」
「 え!?好きだって言って、そのまま何も言わないでキスしたんですか… 」
香坂くんがぎょっとする。
「 あはは、違う違う。その時は保健室の先生がいなくてね。文化祭だったから忙しかったみたい。
俺いつも保健室にいて、怪我の手当てのやり方が分かるからフジの手当てしてあげたの。
その時に、すごく綺麗だねってフジに言われて。キスしていいですか?って聞かれたんだ。
__頷くしか、ないよね 」
「 …全く 」
フジが、俺のそばに来てぎゅっと体を密着させる。
「 ヒラは可愛すぎるんだよ…他のやつに取られないか心配なくらい 」
後ろから抱きしめられるのは好きだ。
フジからたくさん、愛をもらってる気がするから。
「 さて、その文化祭だけど、今年ももうすぐ準備進めてくぞ、生徒会役員で 」
生徒会長の一声。
秋の匂いが香る頃。
それぞれの恋路は、動き出す。
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文化祭で転倒して~は作者氏の本当の出来事です。どうせだったら小説で生かしてしまおうのノリ。
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