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ご主人さま。
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「 うん、とりあえず清川君がいるメイドカフェにでも行ってみる?……良介?なにそわそわしてるの 」
「 いや…仕事しないって変な感じだなって。…メイドカフェ?1年2組の?んないきなり行く? 」
「 たまに生徒会長掃除よろしくーとかってクラスのやつに押し付けられてるでしょ。
今日くらい、いいんじゃない?文化祭実行委員も別に居る事だし。うん、メイドカフェ 」
そうなのだろうか。
「 まぁ、そうか…んじゃ行くか 」
俺達は人でごった返す階段をなんとか降りて、一階にある1年2組へと向かった。
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「 お、香坂。呼び込み頑張ってるか 」
メイドカフェの看板を掲げた香坂が、教室の入口に立っていた。
「 言われなくても、です。大丈夫ですよ 」
どこか一歩冷めた態度なのは、俺が怜斗の意中のひとを思うがままにしているからなのだろうけど。
「 そうか。たくさん客入ってんな。俺達もいいか? 」
「 あ、入ってくれるんですね 」
「 そうじゃなきゃ冷やかしだろ 」
教室の中から、女子がひらひらとテーブルを拭きながら怜斗に向かって手を振っている。
「 あ、ちょうど席空いたみたいです。いらっしゃいませー。キヨくんがちょうど今当番ですよ 」
カランコロンと、教室のドアに後で付けたのであろうベルが鳴る。
おしゃれな喫茶店とかにありそう。
薄ピンクの内装は入る人を少し選ぶような気もするが、スパンコールできらきらとしていて女子ウケはしそうだ。
「 良介、すごいね 」
すると__
「 い、いらっしゃいませ…… 」
奥から、超ミニスカートのメイド服を身に付けた清川がお盆を持ってお辞儀した。
「 せ、席は…こちらです… 」
え、おいおいおい待て待て待て。
清川が着用しているメイド服は、
明らかにほかの男子生徒が着ているものよりスカート丈が短く、ピンク色で…明らかにそれコスプレだろって思うようなものだった。
当然、清川の一挙一動に他のメイドや客が注目している。
「 お飲み物は、何になさいますか 」
席に座らされ、メニューを提示してくれるけど。
「 あんまかがむとパンツ見えるぞ 」
小声で、二星が指摘する。
「 …平気です、なんかもう吹っ切れたんで 」
「 なんだそれ。んじゃ俺アイスココアと…ホットケーキかな 」
「 良介コーヒー駄目だもんね。俺はコーヒーと…フルーツサンドかな 」
手早くメモをとるその様子はもうすっかりこなれていて。
「 はい、ありがとうございます。少々お待ち下さい 」
そう言って、他校の制服を着ている男女が座っている、別のテーブル卓へと清川は注文を取りに行った。
「 思ったより賑わってんね 」
「 うん。清川のメイド服はちょっと刺激強いけどねー 」
確かに、なんて言って俺が笑う。
すると。店内の軽やかなBGMが止まり、音質の悪い校内放送が始まりますよ、という合図の音楽がスピーカーから流れる。
ざわめきも、料理を作る手も、メイドの挙動も止まる。
『 はい、えー、こちら軽音部のボーカルを担当しています湯沢です。
この後12時、12時から体育館ステージにて軽音部、スペシャルライブを行います。』
おおー!!と教室が沸き立つ。
今は10時45分。
『 ここで、ベース担当の藤原君に一言貰いましょう。どうぞ 』
『 はいどうも藤原です。…今年は、足コードに引っかけて転ばないように…頑張りたいと思います 』
その言葉に笑うものもいれば、意味が分からないという表情を浮かべる者もいた。
もちろん俺達は前者だったが。
店内BGMの続きがフェードインで流れ出す。
「 お待たせしましたー、アイスココアとコーヒー、ホットケーキにフルーツサンドです 」
「 お、ありがとうー 」
清川とは違う、メイド服を着た男子生徒が運んできてくれた。
それを察したのか、「拓哉に運んでもらってもいいんですけど、あいつ危なっかしいんで」
と男子生徒は言った。
拓哉呼び。同級生であろうか。
料理が盛られたお皿をテーブルに置いてくれる。
学校用の机を四つ組み合わせて、上から赤いテーブルクロスをかけただけの物だが、雰囲気はそれなりに出ていて良いと思う。
「 んじゃ、良介食べよっか 」
「 おう。いただきます 」
軽音部の演奏を楽しみにしながら、俺達は嬉々としてホットケーキを口に入れた。
文化祭、無事に最後まで終わるといいな。
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