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裏
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俺は、やっとの事で泣き止んで家に志麻くんを入れた。
う『ゲホッゴホッ』
咳がでてきた。
喉の奥がイガイガする。
う『ん"ん"ッ』
し『大丈夫か?うらたさん』
う『う"ん大丈夫』
し『んで、なんで泣いてたん?』
志麻くんは腕にぶら下げていたコンビニの袋から飲み物を出して渡してくれた。
う『え、飲み物いいの?』
し『うらたさんが少しでも落ち着くならまぁ別にいいよ!』
う『ありがとう』
なんて優しい人なんだろう。
俺もこんな人になりたかった。
坂田にひどいこと言うような俺にはなりたくなかった。
もし、志麻くんが俺の立場だったらあんなこと坂田に言ってなかったんじゃないか?
そう思うとまた吐きそうで意識が朦朧とした時
し『うらたさんほんとにどしたん?………あぶねっ!大丈夫?!』
座りながらも倒れ込みそうになっていた俺の体を支えてくれた。
し『話は後ででええから、ちょっと休んだらどうなん?頭ん中スッキリするやろ?』
そういった志麻くんの顔を見て真剣に考えてくれていることがわかった俺はゆっくり立ち上がり寝室に向かった。
志麻くんはなんておしとよしなんだろう。
こんな俺のことも考えてくれるなんて…
そしたらまた涙が出てきそうで、でも今度の涙は志麻くんに見られたくなかったから……
すぐにベッドに上がり志麻くんに背を向けて
涙を流した。
それをわかっていたように志麻くんはおやすみ。と一言いって部屋を出ていった。
それから30分後。
俺はハッとして目を覚まし勢いよく起き上がる。
シーツのスレる音。シーンとした空気。
全てが俺を締め付ける。
いつもだったら隣にいる、茶髪でメッシュの入った羨ましいほどストレートな髪の男。
俺の勢いよく起きる音でいつも彼は肩をビクつかせ、おはよぉって眠そうな顔でほほ笑みかける。
そんな可愛らしい声は聞こえなくて
生暖かい液体が頬を蔦る。
坂田に会いたい。
そう強く思った。
まだ口が聞けなくてもいいからひと目坂田が見たい。
?『はぁ?嘘つけw
お前の本心は違う!
本当は坂田が憎くてたまらないくせに!!!!』
口から誰が考えたかも分からない言葉が出てきた。
今の……俺が言った?
そう思ったらどんどん言葉が漏れてくる。
う?『はっ!wそうだよ!俺は浦田だよ!ww
お前が今発してる言葉は全部お前の【本心】だ!w坂田を殺したいんだろ?死にたいとかデタラメなこと心に刻むなよw俺?本当は死ぬのなんて怖くて、逆に死んで欲しいんだろ?w』
う(違う!……違う違う!)
心の中で叫ぶ
でも口から出てくる言葉は真反対な言葉で、
自分をどんどんズタボロにしていく。
ようやく口から声が聞こえなくなったところでリビングに行くため、起き上がる。
一様玄関に志麻くんが帰っていないか靴を確認しに行き再びリビングへ歩き出した。
今だったら泣いていた理由を志麻くんに詳しく教えられるような気がしたから、今なら坂田に真剣に聞けるような気がしたから、だから、だから!
思いを込めるほど歩く足は早くなって行って…
ガチャ
ゆっくりとドアを開ける。
目の前にはスマホを片手に眠っている志麻くんがいた。きっと俺に構って疲れきったのだろう。
う『ごめんね。ありがとう』
そう呟く。
それでも起きない志麻くんに本当に寝ていて、嘘寝でないことを確認しメモを手にする。
【うらたより
少しコンビニに行ってきます。
志麻くんへ】
坂田に逢いに行くことにいた。
まだ口を聞けなくてもいいからひと目坂田がみたい。
勘が鋭い志麻くんに今顔を合わせたら気づかれてしまうかもしれないから、寝ていたのはある意味ラッキーかもしれない。
志麻くんが起きる前にすぐに着替え持ち物の準備をし行ってきます。と声をかける。
ドアノブに手をかけたところで『どこ行くん?』
ぎゅっと強くカバンの紐を引っ張られる。
う『え……起きてたの……?』
志麻くんは首を右左に何度も振る。
し『うんん。寝てた。でもなんか嫌な予感したから起きただけw』
やっぱりこの人は勘が鋭い。
う『ちょっとコンビニ行ってくるだけ』
こんな嘘をつく俺はなんて馬鹿なんだろ。
こんな優しい志麻くんを前にして俺はずっと嘘を付き続ける。
し『そっか…気をつけてな!外暑っついから!』
う『うん。行ってきます。』
し『行ってらっしゃい。』
なんだか懐かしい匂いがした。
立場は違かったけど坂田とこんな会話をしたような気がする。
(((う『坂田どこ行くの……泣』
坂『ちょっとコンビニ行くだけやぁそんな心配せんでも大丈夫やで』
う『でも坂田が帰ってこなかったらどうするの?俺死んじゃう〜。』
坂『じゃあ、十分タイマー計っておいて』
う『?』
坂『絶対!!10分以内に帰ってくるから!!』
う『ッ…!じゃあ許す。』
坂『よし!じゃあ行ってきます。』
う『行ってらっしゃい。』)))
坂田もこんな気持ちだったのか……誰かに見送って貰えるのって、誰かが帰ってきたら居るのって、こんなに『幸せ』なもんなんだな。
ゆっくりゆっくり俺は歩き出した。
さっき坂田の家に行く時よりも足が軽く感じた。
ピーンポーン
坂田と記された名前の家。
インターホンを押す。
数時間前に1度押したのに何故かさっきよりもすごく気持ちが楽だった。
シーンとしていてなにも音が聞こえない。
薄っぺらい壁の向こうから曇った音で虫たちのガヤガヤしい音が聞こえてくるだけ。
いない?
本当になにも音が聞こえない。
声もしない。
ドアは……開かない。
どこかの小説のように開く。なんてことはない。
これは現実だから。
まただ。
喉がイガイガする。
もしまたあの声を外で出してしまったら…家に帰ってから声を出した方がいいだろう。
きっと家には坂田がいない…。
コンビニの袋持ってなかったら…志麻くん気づくよね……
う『はぁ』
ため息を着いた。
1番近くのコンビニへゆっくりゆっくりマイペースに歩き始めた。
店『ありがとうございましたー』
ブーン
そんな音と共に扉が閉まる。
暑っつい。
頭の中がぐわんぐわんする。
早く家に帰らないと。
あの声が……制御できなく……
?『うらさん?』
なんだか聞き馴染みのあって、大好きな声……【誰だっけ?】
なにも考えられなくなった俺は、悪夢の声に体中を預けていた。
呼吸。動き。言葉。笑顔。全て預けて、本当の俺が動かしているのは意識だけ。
スっとあげたフードの隙間からは坂田が見えた。
う『坂田!』
俺は抱きつこうと体を動かそうとする。
ズキッ
身体中が痛む。
((え?))
う?『ッ……チッ……スー』
また「俺」が制御して自分が発する言葉を聞いているだけ。
口に出す前に、仄かに頭に浮かんだくる言葉をぼやーと見ながら……
oO死ねOo
ハッとして声を出す。
苦しい!苦しい…声が出せない。なにかが喉を塞ぐように、
う『やッ
しごめッ』
う?『死ね』
あぁごめんなさい。
助けて……坂田。
そこで俺は気を失って。
きっとそこから数分間、
俺じゃない俺が好き勝手体を使って坂田の心をズタボロにしたんだろ。
う?『ッは!タノシイ♡』
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