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14 (過去 日向太)
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その時、気付いたんだ。
折れそうな手足のそこここに、ぶつけたような痣?
「…おまえ、その痣、どーした?」
言われても、只、描いてる。
更にムカッっとして、覗き込んだら、
何…これ…。
何気なく見たそれが、めっちゃ上手かった!
「すげーっ!!
これ!!すっごくきれい!!」
って、思わず言っちゃた。
だって、ホントに上手かったんだ!
雑草の花に止まってる、ちっこいてんとう虫。
てんとう虫が、今にも飛びそうで…。
なんで…先生もみんなも気づかないのかな。
こんなに…上手いのに!
「おまえ、すごいなー!!」
奴は、瞬きして…それから俺の顔まじまじと見た。
それから、ふいに興味無いって顔して、また絵描きだしたんだ。
…後になって、凛が言ったんだ。
からかってるのかと思ったって。
でも…褒められたの初めてで、すっごく嬉しかった…って真っ赤になりながら…。
覚えてる。
俺、ちゃんと覚えてる。
だって初めてだったんだ。
俺は絵もそこそこ描けると思ってた。
いっつもいっつも、保育園の頃から賞取ってたし。
でも、思い知らされた。
絵だけは、こいつに逆立ちしたって勝てない。
それくらい圧倒的な差だったんだ。
それからだ。
俺が、俺がって、言わないでちょっとは、他人を認めるよーになったのは。
あの頃のひなって、傲慢だったよねって凛が皮肉だっぷりに言う。
「う…反省してる。でも凛もなかなかのもんだったぞ?」
その後、半年ほどは、俺が話しかけてもスルーしてたじゃねーか。
「僕は変わらないけど…ひなは、変わった。」
「そうか?」
「うん。そうでないとこれほど長く付き合えない。」
そう言って、凛が笑う。
お互い様だと思うんだけど。
いや、違うな。
……凛は、警戒してたんだ。
しつこく話しかけて、やっと徐々に疑いながら警戒を解いてくれた。
ほんっとに、猫みてーな奴…………。
……でも…なんで?
なんで、出会った頃の夢なんか…?
凛…?
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