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87 《直》
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《直》
ちょっと待て…!!
頭がこんがらがりそうだ!
えーと……つまりは、おふくろとD事件の犯人が、昔、結婚してて、
なんだかんだでおふくろが出て行って
その後、兄貴も犯人とは縁切って、おふくろの元に来て
D事件が起こり
兄貴は、弟が気になって戻った
それが、俺が聞かされていた、一年間の放浪な訳で
兄貴は、結局、戻って来て
んで、その弟が、今度は暴力沙汰に巻き込まれた
っていう事?!!
……おふくろは…ヒステリックに泣いてる…。
今まで見た事がない…姿。
俺は、実の母親は、写真でしか知らない。
病気で、俺が1ヵ月の時に亡くなった。
だから…物心ついてからは、今居るおふくろの記憶しか無い。
おふくろは、優しくて、怒ったら怖い…普通のおふくろ。
兄貴も、5つになった時に、おふくろが、おまえの兄さんよって。
それからは、俺の兄貴だ。
それが、今、思い詰めたような顔してる。
「あのさ、兄貴…」
「直は、ちょっと黙れ。もう、部屋に行け。」
「えーー!!
親父!それは無い!!」
結局……親父とおふくろに追い出されちまった…。
うーん………!!
………残る手段は一つっきゃない!!
「……兄貴?」
翌日、電車に乗って一息吐いた兄貴に、声掛けた。
兄貴はギョッとしたようだ。
「おまえ…学校は?!」
「サボった!
兄貴、もう一人の弟のとこ、行くんだろ?」
「……おまえは帰れ。」
「嫌だ。俺も行く!」
「ダメだ!!」
「そんな事言わずに!ダメだって言われてもついて行くぞ!」
電車の中での大声のやり取りに、同じ車両に乗ってた人が、まじまじと見てる。
世間体を気にする兄貴だ、さすがにこれには参ったろう?
「……勝手にしろ!!」
声を潜めて、言う。
そうさ、勝手にする。
おふくろが、兄貴が、困ってんのに何にも出来ないなんて嫌だかんな。
まずは、弟っていう奴をこの目で、確かめる!
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