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92 《黒木》
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《黒木》
最初、斎藤さんが喋っている時は…能面みたいな顔をしてた。
ああ、なるほどと思う。
D事件の犯人の子だ…と。
D事件の犯人は、無表情で相手を傷付けた。
それが…直君が話し出してからは…変わった。
驚いたように…自分が何言ってるのか、わからず、戸惑って。
こんな…表情も出来る子なんだ。
「さ、その日にあった事を、話してもらおうか?」
斎藤さんが、コホンと言いながら、話しを戻す。
被害者なら…自分の味方の兄に、こんな酷い事をされたと、積極的に訴えるのが、普通だ。
でも…果たしてそうだろうか?
会った途端に、泣いて縋りついて…だったら、話しは別だが、凛君は、妙に遠慮していると、俺には感じられる。
兄も、凛君に対してはヨソヨソしい。
それに……凛君は、医師の所見によれば、複数人にレイプされてる。
これで…洗いざらい話すと言うのは、無理がある。
むしろ逆効果と思う。
…斎藤さんも、その雰囲気を感じて、駄目元で話しを振った。
「……あんまり…覚えてません…。」
能面のような顔に戻った凛君は、自分の手を見つめながら言う。
それ以降も質問に、覚えてません、を繰り返す。
兄は、ずっと黙ったまま、だ。
直君は、そんな兄弟を見て、何か言いたそうにしてる。
「じゃ…我々はこの辺で。
また来るよ。
後は、お兄さんと話すんだな。
お兄さん、瀬上くんと話した後で、また….。」
斎藤さんが、俺を促す。
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