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96《和也》
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《和也》
電車の中、直が何か言いたくて仕方ない、という風に、俺を見ている。
知らんふりして、窓の外を見た。
人懐っこい直の事だ。
凛も、戸惑いながらも、直のペースにハマっているのだろう。
斎藤の話は、凛の状態についてと、病院の支払いについてだった。
凛は、詳しい話はしてないが、多くの人に暴力を振るわれ、レイプされたのは間違いないらしい。
「本当に、相手は、何の怪我もしてないんですね?」
「ええ。」
「良かった。」
黒木と言う若い警官が、気色ばって言う。
「立木さん!凛君は、一方的にリンチされ、レイプもされているんですよ?
それが、良かった、だなんて…!」
「止まないか!黒木!」
斎藤が止めにはいる。
…なんと言われようが、凛が暴力振るったのでなければそれでいい。
D事件の犯人の子、というだけで、世間は冷たい。もし、仮に暴力振るったなら、一斉に叩かれる。
事件との関係性がわかって無いので、支払いはこちらがする事になる。
痛いが、まぁ何とかなるだろう。
ため息を吐いた。
ため息を吐いたのは、何度めだろう。
「兄貴…凛、兄貴が行ってから、具合悪そうにしてたぞ?」
じっと俺を見て、意を決したかのように言う。
「そうか。」
「そうかって…!!
気にならねーのかよ?!」
「病院にいる。大丈夫だ。
それより、直。」
正面切って、直に向かう。
「…なんだよ?」
「あいつは…凛は厄病神だ。
今後、一切、関わるな。」
直は、キョトンとして、それから怒りだす。
「何を根拠に!!」
「関わるな。いいな?」
今の生活には、あいつは…凛は関わって欲しくない。
ましてや、それが直なら、なおのことだ。
直は…
世間の闇を見る事なく、幸せになって欲しい。
直なら、それが出来る。
だから、凛…。
今の生活には、おまえは必要ないんだ。
あいつには、水沢日向太と二ノ宮さんだけでいいんだ。
俺の生活を、邪魔しないでくれ!
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