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「あっちいな」
半袖のシャツのボタンを一つあけながら、小糸がこちらに戻ってくる。
俺はその隙間から見えるたくましい胸板に視線が釘付けになった。
小糸が目の前の席に座ると俺は慌てて視線を引き剥がした。
さっきからなに考えてんだよ、俺。これじゃ変態みたいじゃないか。
自分の視線一つも制御できない己が恥ずかしくて、俺は唇を噛んだ。
「それで、今日のリーダーの訳なんだけど」
小糸は俺の内心の葛藤に全く気付いていないようで、手元の教科書に目を落とした。
そんな中で迎えた高校二年の夏休み。
あれだけ毎朝会っていたにも関わらず、メアドの交換すら言い出せなかった俺は、夏休みの間小糸と会うことは一度もなかった。
本条からはバーベキューだ花火だと誘われたが、人見知りするタイプの俺は適当な理由をでっちあげて断った。
そうすると結局塾の夏期講習くらいしか外に出ないせいで、俺は相変わらず真っ白い肌のまま新学期を迎えた。
夏休み明け。がらりと開けた扉のむこうに小糸の姿を見つけた俺はあんまり嬉しくてついその場で立ちすくんでしまった。
「よお。鈴賀は全然日焼けしてないんだな。どこも行かなかったのか?」
俺に気付いた小糸にそう声を掛けられ、俺は花に吸い寄せられる蜂みたいにふらふらと彼に近づいて行った。
「一応受験生だし、夏期講習で塾に籠ってばかりだったから。小糸はすごい焼けてるね。海でも行ったの?」
小糸の前の席に座りながらそう言うと、彼は苦笑した。
「いや、草むしりしてて気が付いたらすごく焼けててさ」
そう言いながら小糸は自らの二の腕を摩った。そこはこんがりと焼けていて自分の真っ白な腕との対比すると情けなくなってくる。
「草むしり?」
「ああ。家の庭とか、あとは…」
小糸の表情がふいに固まる。
「まあ、とにかく俺もほとんど勉強ばっかりだったよ。早く受験終わるといいな」
露骨に話題を逸らされたと感じたが、俺は「そうだね」と当たり障りなく相槌を打った。
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