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「でもさ。あいつ貴雄のことだけは特別扱いしてるじゃん」
「朝の勉強のことか?それならたまたま」
「そうじゃなくて」
焦れたように本条が俺の言葉を遮った。
「あいつ授業中、貴雄のこといつも後ろからじっと見つめてるんだぜ」
「何それ。本条の気のせいじゃないの?」
「いや、視線がお前に固定されてるもん。あんだけ露骨に見てんだから、俺以外でも気付いている奴いるんじゃねえかな」
そう言われても俺は到底信じられなかった。朝の勉強中も小糸はそんなそぶりちっとも見せたことはない。
「だからさすがに貴雄には連絡先教えてるかなって。あいつ貴雄のこと好きだと思ってたからさ」
好きの単語に俺の顔に熱が集まる。
「俺、男だよ?そんなことあるわけないじゃん。とにかくこれ届けてくる。家、教えてくれてありがとな」
本条にそう返しながら、俺は内心ドキドキしていた。
小糸が俺のこと見つめていた?一体どんな気持ちで?
今日、小糸の家に行ったら二人で話したりできるかな。
秘密に包まれた小糸の私生活にも少しは触れられるかもしれない。
俺は手の中のノートをギュッと握った。
スーパー清里の裏手には一軒家がずらりと並んでいた。俺はその一つ一つの表札を確かめて回った。スーパーからかなり離れた距離まで来たところで、俺は「小糸」の表札を見つけた。
家は小さな一軒家で白い壁は汚れて黒ずみ、門には鉄さびが浮いていた。
正直小糸の家を見て俺は驚いてしまった。
何度かクラスメイトの家に遊びに行ったことはあるが、みんな高層マンションや広い新築の一軒家だった。
ここのような外観の家に招かれたことは一度もなかった。
俺が小糸の家の前で瞬きをくり返していると、ふいに玄関の扉が開き、ジーンズにポロシャツを着た小糸が出てきた。
俺の顔を見ると、小糸は目つきを鋭くした。
しかし俺はそんな小糸の表情の変化に全く気付いていなかった。
私服姿の小糸、新鮮。かっこよすぎる。
ポロシャツもジーンズもそうとう着倒しているのか、くたくたになっていたが、小糸の日に焼けた肌に青いポロシャツは良く似合っていた。
そこから覗く筋肉質な二の腕に、俺の目は釘付けになっていた。
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