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ルームシェア始めます。 1
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ピンポーン
呼び出しベルを軽く押し、背筋を伸ばして服を整えた。
失礼がないように振る舞わないと。
せっかく久しぶりに会えるんだから。
高まる期待に頬が紅潮していく。
そわそわと落ち着かない気持ちをなだめいていると、呼び出し人から『ちょっと待ってね』と大好きな声が聞こえた。
パアアっと一瞬にして浮き足立つ。
ダメだダメだ。落ち着け僕。もう子供じゃないんだから。
すぐに扉は開いて整った顔が覗いた。
涙ボクロが優しそうな顔をさらに優しそうに見せている。
見知ったその顔に嬉しくなって、思わずガバッと抱きついた。
「ゆづにぃ!」
「久しぶり伊吹、よく来たね」
5つ年上の兄である遊馬佑月(あすまゆづき)に、落ち着いた声で優しく頭を撫でられてまた嬉しくなる。
「はい!お久しぶりです!ゆづにぃまたカッコ良くなりましたね!僕ゆづにぃにずっと会いたくてっ······あ、そうだ、お母さんからゆづにぃへの手土産を預かっていて、あ、もちろん僕からもありますよ·······っ」
抱きついたまま見上げて、色々話そうと考えていたことを一気に喋り出す僕にゆづにぃは苦笑して、とりあえず中に入るよう促した。
「あっ、そうですよね。ごめんなさい、はしゃいじゃって」
パッとゆづにぃから離れると、ゆづにぃは僕の荷物を半分持って「いいよ」と笑う。
「俺も久しぶりに伊吹に会えて嬉しいから」
うう、眩しい·······。
おいで、と家の中に通され、リビングへ案内された。
そこに居たのは、テレビでもよく見る2人と、知らない人が1人。
みんなの視線が一斉に僕に集まる。
「あ、初めまして、遊馬佑月の弟の遊馬伊吹(あすまいぶき)と言います。これからお世話になります」
ぺこりとお辞儀をして、つまらないものですが、と手土産を渡す。
すると、身長が低めな男の人が「そんなかしこまんなくていいって」と笑った。
「知っているだろうけど一応紹介しておくね」
ゆづにぃは僕をソファに座らせて、対面のソファに座っている金髪の男の人と身長の低い男の人を指さした。
「こっちの金髪の方が俺のバンドメンバーの1人、藤堂蓮司(とうどうれんじ)で、もう1人が同じくバンドメンバーの、鳳侑李(おおとりゆうり)。どっちもテレビで見たことあるかな」
「はい。よく知ってます」
ゆづにぃは高校卒業してからバンドを結成していて、今や世界を飛び回る3人組の超人気バンドだ。
藤堂さんは女性好きのチャラ男キャラとして色んなモデルなんかもしている人で、
鳳さんは、見た目の可愛らしさと男らしい性格のギャップで女子高生の間ですごく人気だ。
その2人のリーダーであるゆづにぃはもっと凄いけど。
「で、最後に、俺たちのバンドの作詞作曲をしてくれてるのが、京極頼人(きょうごくよりひと)。頼人はテレビに顔出ししていないから初めて見る顔だろうけど、正真正銘俺たちのメンバーだよ」
そうだったんだ、と京極さんを見ると、京極さんは照れたように「よろしくね」と笑った。
「よろしくお願いします」
今日からこの人たちとのルームシェアが始まるんだ。
ゆづにぃに迷惑がかからないような振る舞いを、と意気込んで頭を下げた。
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