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サクラ、サク?! 4
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「佐久ちゃんにそんな度胸がない事ぐらい、俺様が 一番よく知っている」
「………」
悔しいけど、確かにそんな度胸はない…。
それどころか、精一杯に最善をつくすだろう。
高良には、すっかりお見通しなのだ…。
そんな佐久也の胸の内を知ってか知らずか、高良が言い放った。
「あ、もしかして自信がないんだ! 聖藍はかな~り狭き門だしな~。 落ちちゃいそうか? ああ、そうか!!落ちた時のための言い訳かぁ~」
黙っているのをいいことに、言いたい放題かよッ!
「おっまえな~。受験生を前に『落ちる・スベる』は禁句だろうが!」
高良は全然気にする風もなく、垂れた目を下げて笑う。
「ほんっと、佐久ちゃんは小心者だね~。 まぁ、そんな可愛いところも好きだけど、なっ?」
何が『なっ?』だよ。
しかも、受験生を捕まえて『落ちる』とは、なに事か!
「…っさいなぁ、ごちゃごちゃごちゃごちゃ! 高良でも受かったんだぞ。俺だって受かってやるさ、絶対受かっちゃる!」
言ってやった!
そして思った…。
言ってしまった…。
「よぉうし!絶対受かれよ。落ちたら俺様が一生笑ってやるからな」
高良は“してやったり”といった表情で、佐久也を見た。
まんまと乗せられたようではあるが、もちろん落ちるつもりはない。
それでも万が一の時には、高良は佐久也を本当に指差して一生笑うに違いない。
でもそれもまた、佐久也が惨めな思いをしないように、笑い事にしてしまおうとする高良流の優しさなのだと知っている。
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