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僕の名前。 5
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『そして、もう一つ。僕の名前が「たから」なのは、僕がたくさんの宝物を見つけられるようにだって言ってくれる人がいます。 そして、「高良は僕の宝物だよ」って言ってくれました。 僕は、僕のことをそう言ってくれる人が大好きです。 一生、僕のことを宝物だって言ってもらえるように、その人を大切にしていきたいです」
―――って、その時の作文用紙がなくても、自分が書いた幼い文章をしっかりと覚えている。
俺のことを、『宝物』だと言ってくれたのは、佐久也だ。
小学校5年生の俺は、もうすっかりあの人(母親)の事は諦めていて、名前の理由など知ったところで何も変わらないと思っていた。
名付け理由の方は、単身赴任の父親に電話して聞いた。
そして宿題として持ち帰っていた作文を、やっつけ気分で片付けようと思っていた時に、一緒に宿題をしていた佐久也が俺に言ってくれた事だった。
佐久也はそんなこと、ちっとも覚えていないのだろう。
そんなもんだよな……。
凄く嬉しい言葉で、救われた方は鮮明に記憶しているのに、救った方は忘れてしまっている。
「高良の名前ってさぁ~」
「え…?」
もしかして…、覚えているのか?
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