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*日 常* 2
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なのに…、だ。
「世の中そう上手くはいかないなぁ」
窓の外に視線を泳がせながら、司はひとつため息をついた。
全国各地から生徒が集う聖藍学園。
エスカレータ組を除くほとんどが、同じ中学から進学してきた者が居ない状況で、境遇が同じクラスメイトは打ち解けるのがとても早い。
もちろん、司もそのうちの一人だった。
だった、のに……。
噂が流れ、尾が付きヒレが付き、それと共にクラスメイトの態度がよそよそしくなっていく。
『宝生司はヤクザの組長の息子で、次期組長』
早くも、フツーの高校生活を送るというごく平凡な望みが困難になっていて。
日々は“普通の日常”ではなく“退屈な日常”と化していた。
遥彼方の四国から、どういう経路でそんな情報が噂になってここまで流れてきたのか、さっぱり見当が付かない。
まぁ、見当が付いたところで、どうしようもないけど。
「そんなの嘘だよ~」と笑い飛ばせばいいのかもしれない。
でも、噂があながち嘘ばかりではないから始末が悪い。
なので、否定も肯定もせず放置。
何よりも面倒くさい。
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