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*日 常*3
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「宝生、今週週番だろ? 1限の世界史、地図と資料集を人数分、準備室から持って来いってさ。 高橋先生からの伝言だ」
「ああ、サンキュ」
反射的に笑顔を返し席を立つ。
「えーっと、もう一人は誰だ?」
「あー、まだ来てないんじゃね? いいよ、俺だけでもなんとかなるっしょ」
どーせ、居ても関わりたくないオーラだだ漏れで気まずいし、一人の方が気が楽だ。
準備室…隣校舎の3階だ。
遠いなぁ、確実に2往復だもんな……ツイていない。
「手伝うよ」
伝言を事遣って来たクラスメイトは、司の後を付いて来る。
上杉主税(ウエスギチカラ)。
中等科からのエスカ組。
彼はいつも賑やかな集団に加わることなく一人で過ごしている。
けれど、決して取っ付きにくい訳では無く、話し掛ければ気さくに話すし、親切で信頼されている。
皆から一目置かれている存在。
その証拠に先生とエスカ組の満場一致の推薦によって、級長の役職に納まっていた。
「いいよ、気を遣ってくれなくても」
「なんだそれ」
「上杉もヤクザとかかわりたくないっしょ?一人でも2往復すれば何とかなるしさ」
柔らかくにっこりと笑う。
上杉は、さして感情が感じられない醒めた目を司に向ける。
「お前さ、せっかく綺麗な顔してるんだからいつもそういう顔しとけよ。つまらなそうな顔してんじゃねぇよ」
つまらなそうな顔はお互い様だと思うが、口にはしない。
で、せっかくなのでお褒めいただいた笑顔をこれでもかと言わんばかりに向けてやる。
「男が綺麗な顔とか言われてもなぁ。 いいよ、本当に気を遣ってくれなくても」
丁重にお断りしているのに、上杉は教室を出て廊下を歩きだした司の後を付いて来る。
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