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ホテルを出て、家へ帰るや、瀧澤はむしゃくしゃしながら自室のピアノを弾きまくった。
楽譜の指示は完全に無視し、己の感情そのままを演奏する。
激しく、強く、何度も何度も乱暴に鍵盤を叩くように音楽を奏でた。
あの女が放った言葉が否応無しに耳にこびり付いて離れない。
言われた言葉があまりにも思い当たる節が多すぎて由良の事が頭から離れずにいた。
分かっている
いや、分かってしまった……
俺はショックを受けたんだ
洗礼された無垢な容姿の由良は純真なモノとずっと思っていた。
その見た目があまりにも綺麗で神々しくて、その概念を持ち過ぎたのだ。
それが違う事実を突きつけられて……
「クソ……、クソッ!クソッ‼︎」
ガンガンガンっと楽譜の最後の音符を指先で押し付けるように叩き、瀧澤は一曲弾き終えると舌打ちしながら椅子から乱暴に立ち上がった。
あいつの知らない部分があると思うと悔しくて仕方がない。
あいつの全てが欲しい!
俺の知らないあいつがどうしても欲しいっ‼︎
誰かがあいつに触れたと思うと……
「クソッ‼︎すっげぇ、ムカつく‼︎」
足元にあったゴミ箱を思い切り蹴り倒すと、瀧澤は思い立ったように部屋を出た。
好きなのかどうか、それは正直なところやっぱり分からない。
だけど、あいつに執着してるのは分かった。
あいつへの期待が高まり過ぎてショックを受けた事実も受け止める。
だが、俺もあいつへの気持ちはきっちりぶつけさせて貰う。
他の奴に汚されたなら、俺が上書きしてやる
俺がドロドロになるまで、濃く、深く、沈めてみせる
瀧澤は胸の内に巣食う、自分でも初めて襲われた黒い感情に支配されるがまま由良の元へと向かった。
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