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唇を親指でゆっくりなぞられて、口を開かされる。
まるで自分から次のキスを待っているみたいでソワソワする。
イカリさんの唇があと数ミリで触れるというところでバイブ音が鳴った。
急に聞こえた音にビクッと驚く。
以前までバイブではなく着信音が鳴っていたのに、俺がいちいち怖がるからなのか少し前からイカリさんの携帯は常にマナーモードになっていた。
1度は無視しようとしていたイカリさんだけど、鳴り止まない携帯に舌打ちをして電話に出た。
「はい。……はい、そうですが」
電話越しだから何を喋っているのか聞こえないとはいえ、他の人の存在を感じるのはやっぱり怖くて、徐々に指先が冷えていく。
それに気づいたのか、イカリさんが俺の頭を1度撫でて自室に入ってしまった。
イカリさんがそばにいないだけで空気が何倍も重く感じる。息苦しい。
どうしてこんなに弱くなってしまったのかな。
1人でいるには広すぎるリビングで、イカリさんが消えていった扉をじっと眺めていた。
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