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【いいなずけ】※暗い
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まるで時代の流れから取り残された様な、そんな村で俺達は育った…
「圭子…俺ちょっと涼平ん家行ってくるから」
「じゃあコレ、お夕飯に持って行って上げて。今日お父様とお母様、いらっしゃらないそうだから…口に合うか分からないけどって」
そう言って、はにかむように笑った妹に持たされた肉じゃがを、恨めしく見つめながら、俺は涼平の家へと向かった。
後ろめたさと、嫉妬心を秘めながら…
「涼平…っ」
「っあ…んんっ…圭吾っ …」
さっきまで普通に勉強して、夕飯食って…その後我慢していた理性の糸が切れたように俺は涼平を抱いた。
「ひあっ…もっと…ゆっくりっ…」
「ごめん…無理っ…」
涼平がいけないんだ。圭子の作った肉じゃがをあまりにも美味しそうに食べたから…
「なあ…俺の事好き?」
「あっ…すき…っ…」
…圭子より?
そう聞こうとして止めた。涼平が圭子じゃなく、俺の事を好きな事ぐらい分ってるから…
「俺も…好きだ…」
ずっと前から…圭子よりも、俺の方が涼平の事好きだよ。
タダでさえ子供が少ない上に、外の世界から閉鎖された様な環境の村で、当然のごとく俺と涼平は友達になり、毎日日が暮れるまで一緒に遊んだ。
そして、俺と涼平はいつの間にか、単なる幼馴染みという関係も、男同士という一線まで越えてしまっていた…
そんな俺達が中学生になった頃、大人達が突き付けたのは、涼平にはいいなずけがいて、しかもそれが俺の双子の妹の圭子だという事実だった…
遅かった…せめて‘そうなる,前に知らされていたら、俺は二人を心から祝福する事が出来ただろうか?
「なぁ…何で神様は、双子なのに二人とも女に産んでくれなかったんだろうな」
そしたら、涼平と結ばれるのは俺だったかもしれない…
乱れた布団の上、隣りで眠る涼平にポツリ呟いた。
「聞いてねーか…」
「……きっと…神様は、俺達なら乗り越えられると思ったんだよ」
眠っていると思った涼平が、瞳を閉じたままそう返事をした。
「神様か…」
そんなもんが本当にいたら、今すぐぶん殴ってやる。
俺達がこうしてお互いに惹かれ合っている事を知ったら、一番キズつくのは圭子だ。
生まれつき身体が弱くて、近い将来村から出て都会に出る事も出来ない妹の幸せを、兄である俺が奪ってしまう事が怖くて…
「涼平…圭子の事…幸せにしてやってくれな」
そうでも言わないと、妹への裏切りへの罪悪感に押し潰されそうだった。
「なんだよそれ…俺の幸せはどうなるんだよ…」
そう言うと涼平は俺に背を向けた…溢れた涙を隠すように…
「涼平…ごめん」
「あやまんなよ…今は…こうしてるだけで、ちゃんと幸せだから…」
「うん…」
俺は、震える涼平の肩を後ろからキツく抱締めた…
圭子…ごめんな…俺やっぱり涼平の事…
諦められそうにない…
テーブルの上に残された肉じゃがは、すっかり冷めきり俺達を恨めしそうに見つめていた…
―end―
なんですかね…この昼ドラ的雰囲気…(笑)
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