アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
溢れる涙は何の味 【6】 fjhr
-
「じゃあ」
「癒して」
そう言ってヒラは俺の上に倒れこんだ。
俺の心情はとんでもないことになっていた。
好きな人が自分の上に乗っている、ましてや「癒して」なんて言われて、、、
チラリと自分の上に倒れているヒラの顔を見た。
ヒラは俺が見ていることに気づいていない。
そのままジッと見つめる。
伏せ目がちな表情をして、何か考え込んでるような気がする。
ちょっと頬が染まってる?
な訳ないか。泣いて赤くなってるだけか。
、、、てかこれめっちゃ心臓の音聴かれそう。いや聴かれてる。
やべ、はっず。
なんて考えてるとヒラが動く気配がした。
反射的にヒラの方を見る。
「ん、、、」
すり、と頬擦りをされた。
「、、、すぅ、、、」
寝たみたいだ。
いや寝たみたいだじゃないな。
声をあげなかった俺を褒めてほしい。
これはヤバい。
可愛すぎだ。
少しだけど、良からぬ想像もしてしまった。
どうしよう、ベッドに移動させた方がいいよね。
あ、そうゆう意味じゃなくて。
する、とヒラの頭を撫でる。
、、、大丈夫そうだ。
身体を起こし、ヒラの身体を支える。
どう運ぼうか。
今の格好はパッと見ヒラと抱き合っているような感じで、すでに死にそう。
、、、すんごく恥ずかしいけどやっちゃうか。
その状態のまま上手く体制を変えてヒラの膝の裏に腕を滑り込ませ、
ヒラの身体は俺に預ける形にして立つ。
まさかヒラをお姫さま抱っこできる日が来るなんて、、、
その事実に感動しながら、ハウスのある部屋にあるベッドに向かう。
頑張ってドアを開け、ヒラをベッドに寝かせる。
毛布を掛け、もう部屋から出ていった方がいいのに俺は少し我が儘をして
ベッドに腰掛けた。
「癒して」
あの言葉がこだまする。
思っていたものとは違ったけど、ヒラがやっと頼ってくれて本当に嬉しかった。
ヒラは癒しを必要としているのだろうか。
俺に癒しを求めるのか。
俺なんかが癒しになるのだろうか。
いやいや、ヒラが選んだのならなんでもいい。
ヒラが俺に癒しを求めたのなら、俺はそれに答えなければ。
「、、、ヒラ」
彼は気持ちよさそうに寝ている。
「、、、」
ヒラに顔を寄せる。
まぁ、さすがにしないけど。
この恋は諦めようとは思ってない。
けどもしヒラに「そういった」人が居るのなら、
俺は喜んでそれを応援したい。
大切な人だから。
彼の幸せを一番に願いたい。
大切な人だから。
本当は、ずっと傍にいてほしいけど。
「、、、ねぇ、ヒラ」
「君の幸せが、僕の幸せになるけど、」
「願わくは、ずっと一緒に」
返事のこない部屋の中でそう告げた。
「おやすみ」
俺は部屋を出ていった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
17 / 53