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第1夜-1
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*--第1夜--*
佐久間晴臣の携帯が鳴ったのは、午前1時を回った頃だった。手掛けていた服がようやく仕上がり、満足感と共に床に着いた矢先のことだ。
バッグの中で電話の着信音が鳴り続けている。
「誰だよ……」
寝たふりをしても鳴りやまない音にため息をつき、晴臣は渋々ベッドから降りた。
散らかった部屋を横切って、バッグから携帯を取り出す。
「奏太?」
画面に表示されていた名は、幼馴染みの香住奏太だった。
しかし、こんな時間に電話してくるような非常識ではないはず。
首をひねりながら取り敢えず電話に出た。
「もしもし?」
まず聞こえたのは街の雑踏だった。
どこかの繁華街のようなノイズだ。
続いて聞きなれた声がした。
「遅くに悪い、晴臣」
「ちょうど寝るとこだったんだぞ、どうしたんだよ」
「今晩泊めてくれないか」
「は?」
「家の鍵を忘れて、帰れないんだ」
いつも冷静な彼にしては珍しいミスだ。
しかし奏太は弟の遥と同居しているはず。
「遥ちゃんに開けてもらえよ」
「……遥は友達と旅行に行っていて今日はいないんだ」
「ついてないな」
「明日の夜には遥が帰ってくるはずだから、それまでおいてくれないか。頼む」
「しょうがないな。いいよ。来いよ」
「ありがとう。助かる」
「どれくらいでうちに着く?」
「30分くらいだな」
「了解」
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