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君、還る場所 85
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「それがねぇ。台所ですごい物音がするものだから、母さん目が覚めちゃった」
「……ごめんなさい」
母さんの言葉に、彼はしょんぼりとした表情で肩を落とす。
「あぁ、いいのよ。どこに何があるのかわからなかったんですもの。家のことは、後で蒼ちゃんにいろいろ教えてもらってね」
「はい!」
今度は嬉しそうな満面の笑みで返事を返す。
……わかりやすい人だなぁ。
って!
「えっ!? 俺?」
「そうよ、蒼ちゃん。他に誰が居るのよ? ヨウ君のことはしっかり頼むわよ」
「えっ…あ……」
ヨウ君とやらに、すごいキラキラしたまん丸の目で見つめられ笑顔を向けられる。
「……うん」
そんな純粋な子供のような顔されたら、拒否出来ない……。
時間が無くて、ご飯を掻き込む。
その間にも、母さんとヨウ君の他愛のない会話は弾む。
二人は気が合うようで、親しげな和やかな雰囲気。
いつもは母子二人、会話はあっても静かな食卓だった。
なのに、一人加わるだけでこんなにも賑やかになるんだ…。
二人の会話に巻き込まれながら、蒼大も不思議と穏やかな気持ちになっていく。
ヨウ君について、訊きたいことが山ほどあるのだけれど……今はまだ、そんなに急がなくってもいいかな…。
なんて、思ってしまった。
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