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打ち捨てられた小さな小屋の中、古い藁を敷き詰めた一角に、ふたつの人影が寄り添っていた。
一人は、体格のいい少年。金髪で、少し汚れた庶民的な服装をしている。
もう一人は、その少年よりずっと小柄で、品の良い身なりをした人影。
その華奢な体つきは少女に見えなくもないが、こちらも、れっきとした男子の恰好をしている。
小柄な影と一回り大きな影は、溶け合いそうなほど密接に絡みつき、その姿はまるで、密かに逢瀬を重ねる恋人同士のようだった。
しかし、実際はひとりがもうひとりに無理やり襲いかかっている状態であり、被害者のほうは、もはやなす術もなく、ぐったりと納屋のボロ壁に寄りかかっていた。
ひとり夢中になっている吐息が、狭い小屋に響き続ける。
少年は小さな頭を撫でながら、“それ”が終るのを目を閉じて待っていた。
しかし、徐々に指先から感覚がなくなっていくことに気づき、ふと頭を撫でる手を止める。
首筋を舌が這う感覚は、依然として止む気配はない。
「…リオ…」
「ふぁ…んっ、んっ、んんっ…」
ぽつりと声を出すが、相手には届かない。
「って…リーオたん…?あのー…あのさー…」
「んっ、んっ、んくっ………ふ…?」
「あの…さ、ちょっと、飲みすぎ…カナー?」
「──…っ!?ふぁっ!あっ、ごっ、ごめんっ!」
自分が夢中になりすぎたことに気づき、リオはがばっと起き上がった。
薄暗がりの中、驚きにまん丸くなった金色の瞳が、襲われていた少年を見下ろす。
慌てたリオに、少年は「心配ない」と手を振って起き上がった。
「ダンっ…ごめんね!お、おれっ…また…!」
「あー…ウン、いいのいいの、仕方ないよ。三日ぶりだしね」
そう言って、被害者の少年──ダンは、うろたえる友人にニコッと微笑んだ。
しかしかなりの血を流し──大半は、舐めとられてしまったため──目の前がふらついて、あまりうまく笑えない。
リオはそんなダンの周りをおろおろと動き回り、何か手当てをできるようなものはないかと、ボロ小屋の中を必死に見回した。
「ごっ、ごめん…!ほんとにごめんね!具合悪いっ?どっ…どうし…っ」
そう言って、藁やら乾いた土やらを掻き回すが、小屋の中の衛生環境をますますかき乱すばかりで、布切れひとつ出てこない。
おろおろするあまり、今にも泣き出しそうになっているリオに、ダンは重い体を引きずってにじり寄った。
「だーいじょーぶだよ、ホラ! ハンカチ持ってきたし。ここギュッて押さえてれば、いつもみたいに血ぃ止まるって!」
そう言って、ねっ、と精一杯笑う。
すると、今に泣き出しそうだった小さな影は、真っ赤に染めた頬に小さなえくぼを作り、申し訳なさそうに微笑んだ。
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