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「…おい」
予想外の行動に、ディックはぽかんと青い目を丸くする。
それでも遠退いて行く親友の背中を追いかけ、こちらは小走りで追いついた。
「おい、ダン!まさかリオちゃんに何かあったのか!?昔のこと、思い出したとか…!」
「違うよ!っていうか、ディック声でかい!こんな夜中に近所迷惑じゃん!!」
「テメーもうるせぇよ、バカ!ちょっとこっち来い!」
ディックはダンの腕を掴むなり、家と家の間を抜けて路地を進み始めた。
ダンは何やらいいからなどと喚いていたが、ディックはかまうことなく、ずんずんと進んで行く。
そしてたどり着いたのは、川だった。川といっても、人間の大人が一人寝そべればせき止められそうな小川で、もう少し行くと魚などが獲れる大きな川に合流する。
チョロチョロと清流が音を立てる中、ディックは川べりへ腰を下ろし、ダンも引きずられてその隣に腰を下ろした。
周囲に民家はなく、昼間はここで馬が水を飲んだり草を食んだりしている。
水の流れる音以外、シンと静まり返った中で、ディックは隣でうつむいている友人に話しかけた。
「…で?」
「…え…っとー…」
ダンの語尾が伸びる。それは、話を誤魔化そうとしている時のダンの癖だ。
ディックはダンが反応する間もなく、素早いパンチを食らわせた。
ドスッと容赦ない攻撃をしかけられ、ダンが文句を言うべく顔を上げる。
しかし、真っ直ぐに自分を見つめ、真剣な顔をしてくれている親友を見て、大きくあけた口を閉ざした。
「…何があった?」
もう一度、ディックが問う。
すると、気まずそうな顔をしながら、ダンがぽつりぽつりと話し出した。
「ディック…俺…」
「おう」
「…リオのこと…好きなのかも…」
「…はぁ?」
膝を抱き、ボソボソと零した親友に、ディックは片眉を寄せた。
その仕草を聞き取れなかったと取ったのか、ダンはキッと眉をあげ、もう一度言う。
「俺っ…リオのこと好きなのかもしんないの!!」
「うっせーよバカ!聞こえてるっつーの!」
ドスッ!と再びディックのパンチがダンを襲い、ダンはひっくり返った。
しかしかろうじて小川に落ちることはなく、砂利の上に横向けに倒れる。
ダンは砂利の上に転がったまま、またボソボソと話し始めた。
「俺さぁ…さっき…多分リオにキスしようとしちゃった…。だってなんかリオの側に居ると変な感じになるんだもん…めちゃくちゃ可愛くて…無性にギュッてしたくなるっていうか…」
石ころに向かって懺悔し始めた親友を見下ろし、ディックが面倒くさそうに顔を顰める。
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