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二次創作相棒〔もちろんフィクション、オリジナルエピソードです〕
特命ペダル③真実
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朝出勤すると、杉下さんの机に手紙があった。
大木さんという刑事さんが説明してくれました。
これから青八木に会いに行きます。
ありがとうございました。
生真面目な文字で書いてある。
こんなこともあるんだな、と思って、写メ撮って、杉下さんに送った(手紙は鑑識に回した)。
そういや、あそこの学校の、一年生がここへ来たことあったな。
(https://www.pixiv.net/novel/show.php?mode=text&id=8983166『カブラつながり』)
そう思って雑誌ラックを漁ると、
月刊自転車のインハイ特集号が出てきた。
王者箱学王位奪還!!
泣き崩れる山頂のプリンス
健闘を称え合う総北、箱学
思わずページを閉じる。
小脇に抱えてきた新聞のほうを開くと、そこにはもっと残酷な事実があった。
インハイ事故の自転車競技部員
二人めも死亡
大木さん。
連れに来ちゃダメじゃないですか。
ひとりごちたところへ、杉下さんが到着した。
遅いご出勤ですね。
失礼。
総北高校自転車競技部に立ち寄って来ましたので。
皆さんお元気でしたよ。
元気…
彼今朝亡くなったんですよ!!
なのにチームは元気だって言うんですか?
手嶋さんの走りに、青八木さんの献身に、俺らめいっぱい応えようとしたんです。
結局二位だったけど、あの人らは来年にもつながる魂を残してってくれました。
俺らやりますよ!
来年また、必ずテッペン取り返します!!
シンクロストレートツインなる技の遂行中に、青八木君の脚が止まったそうなんです。
コンビネーションが命の技だったそうで、青八木君はその前夜から、不調を感じていた。
それを押して出場していた。
若者は時に残酷なミスを犯しますね…
冠城追記。
この事件には三つの後日談がある。
一つ目はあの手紙。
杉下さんに俺が送った写メには、ただの白紙が写っていた。
鑑識に送った実物も白紙になっていた。
鑑識は、白紙を鑑定して欲しいのかととったようで、筆圧も指紋も出なかったと報告してきた。
二つ目は広島のチームの処分だ。
三日目スタート前の諍いを係員が覚えていた。
京都のチームの少年が、その朝の青八木君の状態を、
自分の経験から、どういう状況か想定できる
と言っていた。
膝の故障を隠したこと自体青八木君自身の罪だし、自転車は自己管理のスポーツだ。
広島のチームは厳重注意だけ受けてお咎めなしとなった。
ただキャプテンの少年は自転車をぴたりとやめたそうだ。
三つ目はまさに奇跡だった。
葬儀の直前、手嶋君は息を吹き返したのだ。
開口一番、
青八木が、引いてくれた
と言ったという。
でもって杉下さん。
ではあなたとあの日アッサムを飲んだのは、いったい誰だったのでしょうね。
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