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帰宅途中で壱椰からメッセージが届いた。
"大丈夫か?家着いた?"と。
「はぁ…」
思わず溜息を吐く。
家に着いてから、"着いたよ、大丈夫"とだけ返事をした。
今頃、壱椰は彼女に立候補すると言ったあの子と一緒に居るのかな。
「壱椰…」
呟いた言葉は部屋に響いて消えていく。
「好きだよ、壱椰…」
本人に告げられないこの持て余した想いを、僕はどうすればいい?
もう、溢れそうなんだよ。
あの子と付き合うことになるなら……
「慧都、体調はもう大丈夫?」
大学に着き、席に座ったところで壱椰に声をかけられた。
そうだ、この時間は壱椰と同じ講義を取ってるんだった。
「大丈夫だよ。ごめん、途中で帰って」
「一回はお開きになったんだし、大丈夫だって。慧都は気にしなくていい。飲み過ぎた?」
「うん、そうみたい。寝不足だったから、寝たらすっかり良くなったよ」
「そっか、なら良かった」
「壱椰は…」
「何?」
「ううん、何でもない」
ーー壱椰は、あの子とどうなったの?
なんて聞くことは出来なかった。
一緒に講義を受けて、次の講義へ向かうべき移動を始める。
何故か壱椰は僕に着いてくる。
「壱椰、次の講義3号館でしょ?」
「…よく覚えてるな?そうだけど、今日は休講になったから俺も慧都と一緒に講義受けようかと思って。あ、クラスの?」
「違うけど…」
クラスのだと人数も少なく、ちゃんと出席を取ることもあるから紛れ込むのは難しいけれど、人数の多い講義に紛れ込むのは簡単だ。
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