アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
11
-
「えっと、ごめん…ベッド使っちゃって…」
「全然大丈夫だよ」
「あのさっ、これ…慧都がやった?」
足元の鎖を指差す。
慧都は俺のことをゆっくり見据えて微笑んだ。
「あははっ、そうだよ?あんまり飲めないの知っててお酒勧めて、寝ちゃったからそこに縛り付けた」
慧都は手に持っていたお皿をサイドテーブルに置いて、ベッドに腰掛けてきた。
俺は立ったまま慧都を見下ろす。離れようにもこれ以上動くことが物理的にできない。
「もう、壱椰を誰にも触らせないって決めたから」
「は?何言ってんだよ」
意味が全く分からない。
誰にも触らせないって、どういうことだ?
「一生、人の目につかないように僕が大切にしていくんだよ」
笑った慧都の表情は、いつもと変わらないはずなのに恐怖を覚えた。
意味が分からなくて、
何がしたいのかも全っ然分からなくて、
何も言えなかった。
「それより、お腹空いてない?」
"それより"なんかじゃない。
俺が答えないでいると慧都はサイドテーブルに置いたお皿を持ってこちらに向き直った。
お皿の上は綺麗に卵で包まれたオムライス。
「…」
「食べる?」
こんな状況で、食べ物を勧めてくるこいつはなんなんだ…
確かにお腹は減ってる。けど、このまま流されて言い訳がない。
さっき、"一生"って言った。
ずっと感じているこの恐怖は、それを本気だと思わせるのには充分過ぎる。
「…いらない」
「オムライス嫌い?」
「…キライ」
嘘だ。
オムライスは俺の好きな食べ物の中に入る。
「そっか。じゃあ別のもの作るね」
俺の答えに慧都はあろうことか作ったオムライスを、お皿ごとゴミ箱に捨てようとしている。
「待った!やっぱ食べる!食べるから捨てんなよ!」
「…そう?」
笑った慧都を見て悪寒がした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
11 / 87