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部屋を出ると見知った廊下だった。
右奥にトイレがあって、そっちが玄関だ。
左の奥が昨日一緒に映画を見ていた部屋。
じゃらじゃらと音を鳴らしながら、俺はトイレへと向かった。
「なんかの冗談だといいんだけどな…でもエイプリルフールでも何でもないし…」
トイレを出て先ほどの部屋に戻ろうとした時、一度も入ったことのない部屋の扉が少し開いていた。
何があるのか、気になってしまった。
いつもは閉ざされて、入ることのなかったその部屋。
慧都は読書をし始めていた。
本を読み始めた慧都に話しかけても、返事をしてくれないことが度々あった。
だから、気づかないかもしれない。
俺は扉をそっと開いた。
日差しが差し込んでいて、一瞬目が眩んだ。
そこに広がっていた光景は、想像もしていなかった。
部屋を入って正面には机にパソコンが置いてあり、画面は真っ黒だ。
そのサイドにはファイルがいくつも綺麗に並んでいる。
そしてパソコンの置いてある机の後ろの壁には、俺の写真が何枚か貼られている。
その写真は高校時代の体育祭や文化祭などイベントの写真から、大学での教室の中で撮ったカメラ目線の写真、そして、明らかに撮られていることに気づいていない、盗撮された写真。
一番大きくプリントされた写真は、高校の卒業式に二人で撮った写真だ。
俺が泣き笑いしてる写真で、慧都も隣ですごくいい顔で笑ってる。
見なければいいのに、俺はパソコン横のファイルを一つ取り出して開いた。
そこには今の俺の家の住所から実家の住所、実家の電話番号に、出身中学校、慧都と話したこともないような個人情報が綴じられていた。
慧都は知っていたんだ。
俺がオムライスを好きだということを。
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