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31 これから始まる悪夢とは
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炒飯を完食すると、慧都は満足げに笑って片付けに部屋を出ていった。
ああいう、ふとした瞬間に見せる笑顔は俺の知ってる慧都で、正直複雑な気持ちだ。
俺のことを好きだと言った。
愛情表現なのだとしても、これはやり過ぎだ。
度を超してる。
だってこれは、監禁じゃないか。
本当に帰してくれないのか…
「壱椰?」
「っ…」
突然目の前に慧都の顔が現れて驚きすぎて声も出なかった。
「そんなに驚かなくても…なんかぼーっとしてたから。考え事?疲れちゃった?」
どうしてそんなに優しいんだろう。
いや、優しくない時もあったけど。
容赦なく蹴られた鳩尾はまだ痛む。
「コーヒー持ってきたけど…もう寝る?」
「飲む」
「はい」
俺が手を出すと、慧都は笑ってマグカップを渡してくれた。
もう一つのマグカップはカフェオレになっている。
そういえば慧都は甘党だ。
きっとあのカフェオレも甘くしてあるんだろうな。
「ブラックで、砂糖は一つでいいんだよね」
「あぁ…そんなことまで知ってんの?」
「…壱椰のことで知らないことはないよ?」
「ドン引き」
「ふふ…まぁ考えてることは分からないけどね」
残念そうに笑って、慧都はマグカップに口をつけた。
俺もコーヒーをひと口飲む。
穏やかな時間だと思う。
俺の足に枷が付いていなければ。
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