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「あのさぁ、それってこんなことしないで僕に普通に告白すれば良かっただろって言いたいってこと?」
呆れたような表情で俺に視線を向ける慧都に、俺は何も言えない。
「でもそれって受け入れられるって思えることが前提の話でしょ」
「そんなこと…」
「僕が普通に想いを告げて、壱椰はなんて答えてた?『友達としか思えない』って言うんでしょ。それで避けられるのなんて嫌だし、今まで通りに接されるなんてもっと嫌だよ」
顔を歪めて言葉にする慧都はとても苦しそうに見える。
「だったら、閉じ込めちゃえばいいって考えるのは当然じゃない?まぁ、こんな風に考えることが、きっと壱椰の言う 普通じゃない ってことなんだろうけど」
何とも返しづらい言葉を受け、何も言えずにいると慧都は箸を手に取り並べられた朝食を食べ始めた。
「慧都…」
「僕だって、こんなことするつもりじゃなかったんだよ。タイミングが悪かったんだ…」
「え?」
タイミング?
聞き返そうとしたら、
「話はまた夜にしよう」
話を遮られ、仕方なく口をつぐみ箸を手に取り用意された朝食を食べ始めた。
「…美味しい」
一口味噌汁を口にして思わず出た言葉にしまった、と後悔する。
「ほんと?嬉しいな。普段は自分の分しか作らないけど、人に食べてもらえるのって、なんか変な感じ」
確かに、今まで何度か家に遊びに来たことはあったけど、慧都が手料理を振る舞うことは一度もなかった。
本当に嬉しそうに笑うから、さっきまでの、昨日の慧都は夢なんじゃないかって思うけど、足に繋がれたままの足枷の冷たさに現実なんだと実感させられる。
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