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「…今日大学休み?」
「ううん…?2限が休講になって3限から」
「そっか」
食器を洗い終え、洗濯機を回していると壱椰が横から声を掛けて来た。
「どうして?」
「…いつもならもう出てるから、時間大丈夫なのかと思って」
「…よく覚えてるね?」
「別に…」
壱椰は僕から顔を逸らし、そこで会話が途切れる。
まだ2週間しか経ってないけど、ずっと一緒に居たから僕が家を出る時間を大体覚えたのかな?
もちろん僕も壱椰の講義は全て把握してる。
そんな風にぼんやり考えながら、洗濯を終え、壱椰の昼食を用意してから家を出た。
「なぁ最近、壱椰って大学来てる?」
「そういえば先週の講義いなかったな」
「慧都何か知ってる?」
「いや、何も聞いてないよ」
ゼミの教室で、既に集まっているゼミ仲間と話をしていた。
みんな僕と同じ法学部で、壱椰とは僕繋がりで知り合っている。
でも休みだったから連絡を取る、ということはない。
大学生なんて結構サボる人は多いし、いちいち連絡なんてしない。
だから、1ヶ月くらいは大丈夫だと思っていたけど意外と早くに気になったみたいで、咄嗟に嘘を吐く。
「風邪でも引いてんのかな…?でも慧都にも連絡してないって変?」
「そんなことないよ。そこまで頻繁に連絡取るわけじゃないし。とりあえず連絡してみるよ」
スマホをいじる。
メッセージを壱椰に送ったところで、隠してあるスマホを壱椰が見ることはない。
鍵もかけているから開けることだって出来ない。
「そう?ってかそういえば今日のゼミの最後まで課題やって来た?」
「2つ目のが分かんなくて…」
「俺も2つ目が…」
みんなまだそこまで気にする様子もなく、話題はゼミの内容へと変わっていった。
みんなが不審に思う前に、誰かが連絡を取る前に、何か手を打たなければと思った。
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