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「…やっと終わった」
「ほんっとありがとう!」
「いや、大丈夫だよ」
翼冴は拝むように僕の前で手を合わせてお礼を言ってきた。
何とか終わったが時間は20時を過ぎていた。
「翼冴も終わったみたいだし、これからみんなで飯食いに行こうぜ!」
「おーいいね!」
「行こ行こ!」
「あーごめん。僕今回はパス。じゃあ!」
「え、マジか残念…また今度な!」
誘いを断り、大学を出た。
こんな時間になってしまった。
壱椰はお腹を空かせてるだろう…
壱椰を閉じ込めてから、ここまで遅くなってしまったのは初めてかもしれない。
僕の頭の中は壱椰のことでいっぱいだった。
家に着いたのは21時前だった。
何やら奥からガチャガチャ聞こえる。
壱椰、何してるんだろう?
まさか僕が遅いから逃げようとしてる…?
靴を急いで脱いで中に入って行くと、キッチンに立つ壱椰の姿。
「…あ、慧都……」
目が合うと壱椰は気まずそうにして、そして視線は僕から逸らされた。
壱椰の視線のその先には、
「…炒飯くらいなら俺にも作れると思って、作ろうと思ったんだけど…」
恐らく火が強すぎて焦げてしまったのだろう、炒飯らしきものがフライパンの中に入ったままになっている。
「慧都が帰ってくるの遅かったから、たまには俺がって思ったんだけど…」
段々と声が小さくなっていく。
「ごめん、余計なことして…」
明らかに落ち込んだ様子の壱椰。
そんな姿も愛おしくて仕方ない。
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