アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
61
-
「壱椰、こっち向いて」
「……嫌だ」
いつもは自由に動ける範囲の鎖を繋いでいたけれど、今日はそれよりも短い、この部屋の中しか動けない程の長さの鎖を繋げた。
こちらを向くように言っても、壱椰は顔を背けたまま。
僕は布を持ったままため息をこぼす。
これで口を塞ごうと思っている。
こんなこと、本当はしたくない。
「大人しくしてるから…だから…それはやだ…」
そんな風に言ってお願いされると困る。
僕は不安なのだ。
壱椰が声を出せば、きっとすぐにバレて、下手したら警察沙汰にだってなり兼ねない。
何より、壱椰が離れることが。
「それでもごめん。やっぱり無理だよ…不安だから」
「やっ…っんー!」
無理やり顔を向かせ、力づくで布を口に入れ後頭部で結ぶ。
そして、手首も後ろに縛る。
悲しそうにする壱椰から、目をそらすことしか出来ない。
「お願いだから、大人しくしてて…ね?」
僕がそう言っても、当然もう声を出すことは出来ない。
その代わりに、僕を睨みつけてくる。
頬を撫でると、ふいっと顔を逸らされた。
「……ごめんね」
一言告げてから壱椰を残し、僕は部屋を出た。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
61 / 87