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今僕が壱椰にしていることはダメだと、頭では分かっていた。
同意の上ではない。
僕が押さえつけて、逃げられないようにして、脅して。
嫌がる壱椰を見ても、それでも自分の感情を優先していた。
「壱椰……」
名前を呟いて、ようやく思い出す。
壱椰を閉じ込めたままだったことを。
部屋の前まで来て、ゆっくりと扉を開けた。
「壱椰ごめん、すぐ来なくて」
近づいて、口にしていた布を取る。
「慧都、大丈夫?さっき大きな音したけど」
「…っ大丈夫だよ」
電気を点けていなくて、暗い部屋では壱椰の表情は分からないけれど、さっきまで怒っていたのに、声音から心配してくれているのが伝わってくる。
泣きそうになった。
足枷を外して、一緒にリビングへ戻る。
落ちたままだったグラスを見て、小さく溜め息を吐いた。
「あ、割れてんじゃん、溢れてるし…早く片付けないと…」
そして割れたガラスを拾い始める壱椰。
「痛っ…」
「えっ、大丈夫?僕がやるから壱椰は座ってていいよ」
どうやら手を切ってしまったようで、壱椰の隣にしゃがみ、手を取る。血は出てるけど、そこまで深い傷ではなさそう。
そう思っていた時に不意に壱椰の手が僕の首に触れた。
「何?」
ガラスを拾う手を止めて壱椰の方へ向いた。
視線の先は僕ではなく、僕の首元。
「……これ、この痕…」
「え?あぁ、さっき翼冴に付けられたやつ」
痕、と聞いて先ほど首元にピリッとした痛みを感じたことをすぐに思い出す。
「…何で?」
「ん?」
「何でキスマークなんか付けられたんだよ」
壱椰は何故か少し不機嫌そうで、首を傾げた。
どうして、壱椰が不機嫌になってるの?
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