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70 大切にしたかったものは
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目を覚ますと、隣にいるはずの慧都は居なくて、布団に触れるとひんやりしていて、居た温もりさえ感じることは出来なかった。
ベッドから降りてすぐに気付く。
「あれ…?付いてない…」
四六時中付いていた足枷とそれに繋がる鎖が付いていない。
どっちにしても慧都が家に居るのだからどうでもいいかと思い、身体に残る痛みを感じながら部屋を出てリビングへ向かった。
そこに慧都の姿は無かった。
監禁され始めてから、朝は起こしてくれることほとんどだったし、朝食は必ず一緒に食べていた。
こんなことは初めてだった。
「…?何か急用でもできたのか…」
でも、朝食はしっかり準備されていて、意味が分からない。
ちょっと外に出てるだけとかだろうか。
それで、すぐ戻るから足枷は必要無いと思ったのだろうか。
そんなことを思いながら俺は用意されていた朝食を食べ始めた。
「おかしい…」
朝食を食べ終わり、しばらくしても慧都が戻ってくる気配はない。
もしかして、本当に足枷を付け忘れたのかもしれない。
誰かと約束でもしてたのか…
もしかして、翼冴…?
昨日も感じたこのモヤモヤとした感情。
翼冴に付けられたという痕を見て感じた。
これじゃあまるで、嫉妬してるみたいだ。
俺が、翼冴に…?
ぶんぶんと首を振る。
「違う、そんなんじゃない」
自分に言い聞かせるように呟いた言葉は静かな部屋へと消えていった。
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