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鞄の中身は何も変わっていない。
無くなってるものはない。
本当に閉め忘れただけなのか…?
もしかして昨日、翼冴と何かあったのか?
首元のキスマーク。
大きな声を上げてた慧都。
それに割れたグラス。
何も繋がらない。
でも、ひとつだけ…
慧都は俺に飽きて、
翼冴に乗り換えるのかもしれない。
部屋中に貼られていた写真が一枚残らず剥がされていたことが、それを物語っているようで、俺は何とも言えない気持ちになった。
自分がどうしてこんな気持ちになるのか分からないけれど。
でも、これが最後のチャンスかもしれない。
ここに居れば、この監禁生活がいつまでする続くか分からない。
俺を繋ぐ足枷はない。
もし、慧都が俺に飽きたのなら好都合だ。
今日はゼミがある日だ。
夜までは帰って来ないはず。
足枷をつけ忘れてて、思い出して途中で帰ってくるようなことになる前に。
逃げるなら、今だ。
「…なんで」
こんな…寂しい、とかそんなこと…
そんな思いを抱えながら、俺は荷物を持って、慧都の家を逃げ出した。
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