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「ばかじゃないの…」
起きて、いつものように朝食を作る。
当然のように2人分を作ってしまって笑う。
その時、スマホが鳴った。
短い着信で、メッセージが届いたことを知らせた。
スマホをポケットから取り出すと、それは翼冴からで、
《今日空いてる?確か4限が休講になったって言ってたよな?午後からどこか行かない?二人が嫌なら他の奴誘ってもいいし》
という、誘いだった。
とにかく、今は忘れたかった。
《空いてるよ。いいよ、行こう。二人で平気》
返信をした。
そして、閉じようとした時、昨日の朝、壱椰の寝顔を見ながら送ったメッセージが目に入った。
もちろん壱椰のスマホは僕が隠していたからその時は見れてないけれど、きっと今なら見れてるはず。
「…もう見たかな」
見たかどうか、開けば分かる。
でも、開く勇気は僕に残ってはいない。
そっと、壱椰へのメッセージ欄を削除した。
食べきれなかった朝食を捨て、僕は大学へ向かった。
壱椰は大学へは来ていなかった。
確認してしまう自分に嫌になる。
例え大学で会ってしまっても、壱椰は僕のことを避けるに決まってる。
「慧都ー!」
「うるさいよばか。そんな大きな声出さなくていいから。恥ずかしいな」
午前の講義が終わって、大学内で翼冴と待ち合わせていたら、遠くから大きな声で僕を呼びながら手を振って近づいてくる壱也。
周りの視線が刺さる。
「ごめんごめん。嬉しくて。すっぽかされるんじゃないかと思ってたし」
「今から帰ろうか?」
翼冴に背を向けて歩き出そうすると、腕を掴まれた。
「いや、待って!ごめんなさい!嘘!嘘です!!」
「ふふっ、面白いね翼冴」
「慧都ってSだよな」
今は、この翼冴の明るさに救われる。
そんな会話をしていたら講義を終えた学生達が、続々と建物から出てくる。
「早く行こ」
僕は翼冴に腕を引かれ、大学を後にした。
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