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7 (R18)
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ツグト君は何度もオレに、自分の名前を呼ばせた。
オレにとってはキスも何もかも初めてのことだったから、ついてくだけでも精一杯で、ただ流されるままになった。
「は、あっ、っ、ぐと君……」
名前を呼んでるのか、喘いでるのか、自分でもよく分かんないまま、うわ言みたいに繰り返す。
口を閉じていられない。目を開けてもいられない。彼の太くて長い指が、オレの胎内を後ろから暴いてゆるゆると拓いてく。
指先の荒れにいつも使ってる軟膏が、ツグト君の手であらぬ処に塗られてく。
「あ、それ……っ」
使うとこ違うよ、って言っても「いーんだよ」としか言われない。
「ラブローションとか、そういうの何もねーんだろ? まあ、ローションがどんな感じなのかもオレは知らねーけどさ」
「ら……?」
ラブローションって、何だろう? ツグト君の言葉は時々難しくて、オレにはよく分かんない。分かんないからって、訊けるような雰囲気じゃない。
オレの方も余裕、ない。
ぎゅっとしがみつくツグト君の腕は、太くて固くてたくましい。剣を握り慣れ、戦い慣れた男の腕。勇者の腕だ。
その彼の、かつて剣を握ってただろう指が、オレの胎内に挿し込まれる。
「は、ああっ」
耐え切れなくて声を上げると、宥めるようにちゅっとこめかみにキスされた。
「痛ぇか?」
こそりと訊かれたけど、痛い訳じゃない。
「痛くても我慢しろ」
再びこそりと告げられて、黙ったままこくりとうなずく。その命令に甘さはない。だって、これは対価だから仕方ない。
オレに拒む権利はないし、拒んじゃいけないような気もする。きっとツグト君は、痛みごと受け入れられるのを望んでる。
オレが勝手にそう思ってるだけで、本音は違うかもだけど。でも、オレに拒むつもりはなかったから、彼の言葉に異論はなかった。
痛くなんてないし、痛くても平気。それより、うっかり「痛い」って言っちゃっても、やめないで欲しい。
たくましい体にしがみつくオレを、ツグト君こそ拒まないで欲しい。
「ん、ん……ツ、ツグト君」
「ナギでもいーんだぜ」
そんな言葉と共に、唇に落とされるキス。かつて彼が「ナギ」って呼ばれてたことは、おとぎ話にあるからオレも知ってる。けど、だからこそ余計に、「ナギ」とは彼を呼びたくなかった。
ナギサワ=ツグト。まだ完全には発音できないけど、それはオレにだけ許された名前だ。
オレを彼の特別にして欲しい。
誰かに……彼に、特別だって思われたい。「鍵」でも「対価」でもいいから、オレを求めて欲しい。
オレの後腔から指を数本引き抜いて、ツグト君が「いいニオイ」って、ふっと笑った。
「お前からは太陽と青空と風のニオイがする」
ツグト君の言うそれが、どんなニオイなのかオレにはよく分かんなかった。軟膏のニオイじゃないかと思ったし、汗のニオイじゃないかとも思った。
単に、窓を開けてるせいじゃないのか?
恐る恐る目を開けて見ると、ツグト君はうっすらと優しく笑ってて、じっと見下ろされてることにドキッとした。
横向きで足を閉じてた格好だったのを、仰向けになるよう転がされ、足を大きく押し広げられる。
恥ずかしい格好だと思ったけど、抵抗なんかできない。カアッと顔に血が上り、慌てて目を閉じて顔を覆う。
何もかも、今、丸出しにされてるのが分かった。
何も隠せない。何も守れない。とんでもなく無防備で、とんでもなくみっともない。そのみっともないオレを、ふっ、と彼が笑ってる。
指が抜かれた場所が、じんじんと疼く。そこに固いモノが押し当てられて――何だろうって思う間もなく、それがぐぐっと、オレの中に挿れられた。
「ああああっ」
思わず上げた悲鳴は、我ながらひしゃげててみっともなく聞こえた。色気も可愛げもない、みじめな悲鳴だ。
体の奥の一番弱いトコに押し入られ、ずんずんと奥まで貫かれる。
「は、あああっ」
背中を反らし、顔を逸らして、両手で縋るようにシーツを掴む。小刻みに揺すられながら深いトコまで穿たれて、そしてようやく、ツグト君がその動きを止めた。
「キツイけど、全部入ったぜ」
少し上擦った声で告げられて、繋がった場所からびくびくと甘い震えが走る。
「痛ぇか? 痛くても我慢しろ」
再び告げられる命令。けど、さっきよりも厳しさはなくて、わずかに声が甘いと思った。
ツグト君も息を詰めてて、少し辛いのかも知れない。分かんない。
そして、そこで終わりでもなかった。
「動くぞ」
短い宣言と共に、さっき埋められた固いモノが、ずずっと引き抜かれ、また戻される。
小刻みな抜き差し、体腔がずずっと擦られて、「あっ、あっ」と悲鳴が漏れる。口を閉じていられない。目を開けてもいられない。揺さぶりが強くなり、ツグト君の息遣いが耳に届く。
「は、あっ……ツ、グト君っ!」
たまんなくなって彼を呼ぶと、乱れた声で「嗣人だ」って言われた。
「ツグト」
彼の名前を呼びながら、両手を伸ばして背中に縋る。
「ああ」ってうなずく声が嬉しい。彼がそこにいるのが嬉しい。今、体が繋がって、ひとつになってるのが分かる。
「あっ、ああっ」
揺すられるたびにみっともない声が漏れたけど、それを叱られることもない。
「ナギ、サワ、ツグト」
「ああ」
乱れた呼吸と共に、聞かされるうなずき。
彼の太い腕がオレの背中に回されて、縋るように抱き締められる。首筋にキツく吸い付かれ、オレも彼の背中に縋った。
ツグト君の背中は広くて、しっかりと肉がついててたくましい。その体に包むように抱かれて、ずんずんと強く突かれて、体が変えられてしまいそう。
オレの喘ぎ声の中に、ツグト君の息遣いが混じって、乱れる。
「ルーク」
興奮に上擦った声で、彼がオレの名を呼んだ。
「オレの『鍵』……」
鎖骨の下にキスを落とされ、ヒリッとした熱と痛みが走る。けど、胎内を擦られる感触の方が強くて、とても気にしていられない。
「は、ああ……っ」
叫び声を上げたけど、揺さぶりが弱まることもない。
また、やめて欲しいとも思ってなかった。もっとグチャグチャにして、何も考えらんないくらい、彼のモノにして欲しかった。
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