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20 (R18)
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川を越えて向こう岸までビキビキと割れて行く地面。遠くに聞こえるどよめき。ツグト君はそこで手を止めず、更に地面に強く剣を突き立てた。
再びドンッと地面が揺れて、オレも馬も味方の兵も将軍も、みんな弾き飛ばされる。
尻もちをついてから、慌てて立ち上がり前を見ると、さっき見た亀裂は更に長く、深く、枝分かれして範囲も広くなってて、ゾッとした。
遅れたように風がびゅうびゅう吹き荒れて、周りの音を消していく。
川向こうの敵兵が、崖のようになった地割れにパラパラと落ちてくのが見える。
地面に突き刺した剣を抜き、ツグト君がふらりと動き出した。
「待って!」
とっさに大声を上げたけど、ツグト君は止まらない。
「ルーク様!?」
将軍が呼び止めるのが聞こえたけど、構わず瓦礫の上を越え、必死に走ってツグト君に駆け寄る。
「ツグト君! 止まって!」
剣を持つ腕に縋ったけど、ツグト君はちらっともオレを見なかった。ぶんっと腕を振り払われ、あっけなく地面に転がされて、どうっと倒れる。
「うわっ」
悲鳴を上げても振り向いて貰えない。
オレのこと分かんないの?
「ツグト君!」
オレの声も届かないんだろうか?
大股で歩き始めた彼が、ゆっくり駆け出してくのを見てドキンとする。あのまま隣国の領土に入って、それから彼はどうするんだろう? どうなるんだろう? もっと破壊を続けるの?
近隣の国々に次々と戦争を仕掛け、領土を奪ってく侵略国家。うちの国にも襲い掛かり、罪のない町や村の民を無慈悲に惨殺した殺戮者。そんな敵兵たちがどうなろうと、それは自業自得かも知れない。
けど、こうして圧倒的な破壊を続ける内に、無関係の民まで巻き添えにするかも知れない。
いや、もう、なってるのかも。
緑の大地に走る深い亀裂を見渡して、ぎゅっと軍服の胸元を握る。こんなのは「勇者様」の御業じゃない。これじゃダメだと思った。ああ、これが暴走なのか?
暴走した時は――。
「ナギサワ、ツグト……」
教え込まれた彼の名を呟いた途端、ツグト君の動きがぴたりと止まった。
「戻って! ナギサワ=ツグト!」
大声で叫んだ瞬間、鎖骨の下の痣がガーッと熱く痛くなり、たまらずそこを押さえて屈み込む。同時にオレの足元の大地から、何本もの太い鎖が現われて、ジャッと音を立てて前に伸びた。
鎖。闇。地下室。封印。魔法陣。
「あ……っ!」
真っ暗な場所にいた彼の姿を思い出し、声にならない声を上げる。
オレから伸びた鎖はツグト君の両手両足、そして首にも巻き付いて――直後、またジャラッと音を立て、彼をオレの元に引き戻した。
彼の手足や首に、以前見た枷がついてることに、目を見張る。
「ルーク!」
恐ろしく低く響く声で、ツグト君がオレに掴みかかる。地面に押し倒されると、その地面から伸びた鎖が目に入った。じゃらじゃらと鎖が渦を巻き、オレらの周りを取り囲む。
鎖の渦の外で、「進軍!」って叫ぶ将軍の声が聞こえたけど、一緒に進軍はできそうになかった。
ドドドドド、と無数の足音がオレらの真横を通り過ぎ、やがてそれも遠くなる。
オレを押さえ込んだまま、ツグト君の手が乱暴にオレのベルトを外してズボンを下ろす。
そうして何をされるか分かったけど、抵抗なんかはできなかった。
「ツグト君……」
彼の名を呼びながら、返事がないことに泣きそうになる。
視界が涙で歪み、真上にいるツグト君の顔も歪んだ。なんでそんな顔をするのか、分かるようで分かんない。恨み? 怒り? それとも絶望だろうか?
「つ……っ」
もう1度「ツグト君」って呼ぼうとしたけど、それより先に首筋に強く噛み付かれ、名前の代わりに悲鳴が漏れる。
その悲鳴が更に高く続いたのは、準備もないまま貫かれたからだ。
「ああっ、ああああーっ!」
目をギュッと閉じ、メリメリと引き裂かれる痛みに耐える。
誰もオレたちの周りにはいない。いるのかも知れないけど、渦巻く鎖に覆われて見えない。
鎖の作る陰の中、隙間からわずかな光が漏れ、ツグト君の背中を薄く照らした。その背に腕を回そうとしたけど、押さえ付けられて身動きもできない。
名前を呼ぶ余裕もない。
首筋に噛み付かれたまま、揺さぶりが始まって悲鳴が漏れる。
ツグト君を地下の封印から解放して以来、オレたちは何度も夜を一緒に過ごした。
「これは対価だ」ってツグト君は言った。勇者である彼を、ここに繋ぎ止める対価だ、って。
じゃあ、これもきっと対価なんだろう。
そして、きっと「鍵」であるオレの役目なんだろう。
ずんっと奥を容赦なく穿たれ、「ああっ」と痛み混じりの悲鳴が漏れる。
慣らされないままの挿入は初めてで、どうなってるか分かんない。抜き差しされるたび入り口がヒリヒリするけど、奥を突かれる衝撃の方が強い。
そんで、胸の方が多分痛い。
ガクガクと体が揺さぶられ、背中が地面に擦られる。
「あっ、ああっ」
閉じられない口から、情けない悲鳴が漏れるけど、どうすれば止められるのか分かんなかった。
「オレを封じるか、ルーク」
いつの間にか顔を上げてたツグト君が、オレの首に手をかける。
「あっ、やあっ」
とっさに否定の声を上げたけど、何が「イヤ」なのか、自分でもよく分かんない。首を絞められて息が苦しくて、目の前が真っ赤に染まる。
ツグト君が今、どんな顔してんのか分かんない。
ただ、自嘲に満ちた笑みじゃない、ホントの笑顔が見たいと思った。
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