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肩にのしかかる物に息苦しさを感じて、俺は唸りながら目を覚ました。
すぐ目の前にアルファ厶の広い胸があり、がっちりと抱きしめられている。
ーーああ…だから息が苦しいのか。
そう思って、俺は少しだけアルファ厶の胸から顔を離し、空気を求めて顔を上げ深呼吸を繰り返した。
アルファ厶の腕の中で身体を動かして、ズリズリと這い上がる。
そしてアルファ厶の顔の位置まで移動すると、その端正な寝顔を見つめた。
ーーわぁ…、アルってまつ毛も赤いんだ…。わかってたけど、すごくかっこいい…。
たぶん、俺の顔はかなりだらしなくなっていたと思う。
アルファ厶の唇にキスをしたいと顔を近づけようとするとと、アルファ厶の瞼が開いて、緑色の目が俺を捉えた。
「あ…アル…」
「カナ…、もう起きてたのか?あんまり可愛い顔をしてると、昨夜の続きをするぞ」
「え…昨夜…?…あ!」
俺は途端に恥ずかしくなって、アルファ厶の胸に顔を隠した。
そうだった!昨夜、風呂場でアルファ厶とあ、あんなことを…っ!
「どうした?照れてるのか?ふっ、とても可愛いかったぞ。それに何も恥ずかしがることなどない」
俺の髪を撫でながら、アルファ厶が優しい声を出す。
でも、俺はどうしても顔を上げることが出来なくて、小さく首を振ってプルプルと肩を震わせた。
「ふ…、カナは可愛いな。おまえが怖くないように、大事に大切に触れるようにするから安心しろ」
アルファ厶の甘い言葉に、俺はそっと顔を上げてドキリとする。
緑色の目が、俺を真っ直ぐに見ている。
ーーアルは、かっこよくてしかも王様だし、昨夜みたいなことは慣れてるのかな…。女の人はもちろん、男の人に対しても…。
自分で考えたことに胸が痛くなって、俺は、アルファ厶に気づかれないように、そっと胸に手を押し当てた。
「カナ、彼はリオと言う。シアンの部下だ。確かカナと同じ年齢だった筈だ。歳が近いと話もしやすいだろう。リオ、俺の大切なカナデだ。城の中を案内してやってくれ。朝にも言ったが、くれぐれも失礼のないようにな。カナに無礼を働くことは、俺に対して無礼を働くことと同等だと思え」
「はい、わかっております。カナデ様、俺はリオと言います。よろしくお願いします。では、行きましょうか」
「え…、あ、え…」
キョロキョロとアルファ厶とリオの顔を見比べていると、眉尻を下げたアルファ厶に、スルリと頬を撫でられた。
「カナ、少しの間だけだ。留守にしていた間の仕事が溜まっていてな。俺の横にいてもらってもいいのだが、それではカナは退屈だろう?すぐに終わらせるから、その間、城の中を見ていてくれ」
「…うん、わかった。こういうお城って初めてだから、ゆっくりと見てくる。アルは俺のことは気にしないで仕事して」
「気にしないというのは無理だな。なるべく早く終わらせる。今朝、皆を集めてカナを披露したから失礼なことをする者はいないと思うが、何かあったらすぐに俺に言え。いいな?リオも、すぐに俺に知らせろ」
俺が深く頷くと同時に、後ろから「承知しております」とリオが答える。
「じゃあちょっと行ってくるね。アルは仕事頑張って」
俺の頬を包んでいた手をギュッと握って微笑むと、何度もアルファ厶を振り返りながら、リオと共にこの場を後にした。
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